晴天の週末、追浜の街で「日産カップ追浜チャンピオンシップ」が行なわれ、全国から車いす陸上の選手が集まった。このイベントは、日産追浜工場と追浜の街を舞台に2000年にスタート。毎年恒例の行事として地域に根づいている。
3日間のイベントの最終日、12月7日(日)にはハーフマラソンが行なわれ、世界トップのアスリートから、ジュニア、ビギナーまで男女約60名が参加した。このレースは健常者も車いすレーサーを使用し参加できる。また、今回、冬季パラリンピック競技・アイススレッジホッケーの銀メダリスト・遠藤隆行がはじめて出場した。
レース結果は今年も樋口政幸(T54/35歳・長野県)が優勝、予告通りのタイム(45分45秒)だった。
「今年はこのレースが最後。来シーズンにむけトラックレース(1500mと400m)を目標に、より濃やかな動きのできる身体作りをしていく」と樋口。オフシーズンの来年2月に、旭川で行なわれるIPCクロスカントリースキーワールドカップにも出場する予定だ。
4分遅れで2位でフィニッシュした20歳の鈴木朋樹は、樋口を目標に競技をしている。長距離トラックレースを得意としている鈴木に樋口も成長を楽しみにしている。レース前、「樋口さんに離されないように走りたい」と鈴木。しかし、ついに樋口との距離を縮めることができずに終わる。
沖縄の18歳・城間圭介(T54・沖縄県)はハーフマラソン5位。今年10月にはじめて大分国際車いすマラソン・フルマラソンに挑戦した。昨日の10km含め先輩格の西勇輝(20歳・東京都)に迫る走りを見せてくれた。着実に力をつけている。
アイススレッジホッケー日本代表・銀メダリスト遠藤隆行の挑戦
2010年バンクーバー冬季パラリンピックでチームで銀メダルを獲得し、日本のパラリンピックの歴史を塗り替えたアイススレッジホッケー。4年前、世界屈指のプレーヤーとしてパラリンピックファンの尊敬を集めたエース、遠藤隆行(36歳・埼玉県)が、車いすランナーとして会場にいた。遠藤はいま、ホッケーを離れ、ここ1年間は陸上競技の練習をしていた。今年は、関東選手権でのトラックレース、仙台車いすハーフマラソンに出場。追浜に初めて参加し、タイムは1時間4分台だった。
「漕いでも漕いでも、終わらないよ!」と、完走した遠藤は笑顔だった。アイススレッジは破門され今は陸上に取り組んでいるというが、チームに何があったのかは謎である。
「始めたばかりで、まだまだわからないことだらけですが、陸上で力を出せるようになりたい」と、遠藤は話してくれた。
バンクーバー後、ソチへ向かうアイススレッジの強化で、車いすマラソンのトップランナーの一人、安岡チョークが練習に参加したことがあったという。遠藤は、安岡との交流もあった。チームスポーツから個人種目への転向となるのか。ファンの取材者として、バンクーバーでの4年前の銀メダルの存在が大きく、追浜での出会いに驚いた。
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