パリパラリンピックの選考を兼ねた「ワールドライアスロンパラシリーズ2024横浜」が11日、横浜山下公園で行われ、パラリンピック3大会連続出場を目指すPTS2の秦由加子(キャノンマーケティングジャパン・マーズフラッグ・ブリジストン/千葉)が3位に輝いた。
「表彰台に上がることができて本当に嬉しい」
秦は、リオ2016、東京2020のパラリンピックイヤーに開催された横浜大会でも2位、それ以前の大会では優勝もある。しかし表彰台を逃したレース後、観客席から表彰台に立つライバル達を眺め、悔し涙を浮かべてきた思いがよぎり、記者の前で喜びを伝えると嬉し涙を滲ませた。
パラ水泳から転向し、2013年からトライアスロンを開始、リオパラリンピックに初出場した。そこから2021年となった東京とパラリンピックと2大会連続の出場を果たしてきたが、競技開始当時から悩まされてきたのが、右脚の痛みだった。
手術が功を奏するかはわからないなかで、悩みに悩んだ末、東京大会が終わった2021年11月、右脚の手術に踏み切った。
レース全体を振り返って、「バイクに関してはすごく手ごたえがあって、後ろとの差が詰まらずに先行した形でいけてよかった」と秦は話していた。
ランに関しては、「スタートからフィニッシュまで一定のペースで走れたのが結果につながった」と振り返る。
また、パラ陸上で女子400m T63で世界記録を持つ保田明日美の走りを参考に、義足のコントロールの仕方や身体の使い方を学んでおり、お互いに情報交換も行っているという。
保田はトライアスロンに挑戦、このレースの翌日に行われるエイジパラに出場する、二刀流の選手だ。
水泳出身で、スイムに関しての定評がある秦。今大会スイムはヘイリー・ダンズ(USA)に続く2位、タイムは12.26だった。スイムについての振り返りが最後になったのは、課題を感じていたからだったようだ。
「ヘイリーが前にあがってきたと思う。これは、これからの課題、練習しないといけないなと思わせてくれました」と、バイク、ランがのびた一方で課題を感じていたが、その課題を楽しむ頼もしさを感じることができた。
パリ大会に向けて「表彰台を目指します」と力強く語った秦。手術を経て、より力強い走りを目指そうとする秦の躍動から目が離せない。
(編集・校正 佐々木延江、地主光太郎)