関連カテゴリ: IDクラス, ジャパンパラ水泳, ブラインドスポーツ, 夏季競技, 女子, 横浜, 水泳, 観戦レポート — 公開: 2024年5月5日 at 8:23 PM — 更新: 2024年5月10日 at 12:31 AM

200m個人メドレーに見えた、オリ・パラの架け橋。ジャパンパラ水泳2日目、石原・木下

知り・知らせるポイントを100文字で

5月3日、横浜国際プール(横浜市)で2024ジャパンパラ水泳競技大会が開幕。パリ行きが決まった選手と共に、多くのパラスイマーが世界とつながる瞬間に挑んでいる。女子200m個人メドレーをメイン種目とする石原と木下に目をとめた。

 国内最高峰のパラ水泳公式レースである「ジャパンパラ水泳競技大会」。開幕から2日目となった5月4日、石原愛依(auFG)が200m個人メドレーS13で02:18:50の大会新記録を更新して優勝。石原に「ついていけるようになりたい」と敬意を示す知的障害クラスの木下あいら(三菱商事)も同種目で02:29:28のタイムで優勝。互いに200m個人メドレーをメイン種目に掲げる者どうし、健闘をたたえあった。またこの日、日本記録5、大会記録13が更新された。

石原愛依が200m個人メドレーの予選決勝で2連続の大会新記録を樹立

 女子200m個人メドレーS13(弱視)で、石原愛依(auFG)が予選で02:19.36の大会新記録を更新。続けて決勝でも02:18.50の大会記録を自ら更新し、パラの大舞台に向けて大きく躍進した。

女子200m個人メドレーS13を泳ぐ石原愛依 写真・秋冨哲生
女子200m個人メドレーS13の表彰を受ける石原愛依。 写真・秋冨哲生

 石原は2021年の東京オリンピックを目指していたが、届かず。パリオリンピックを目指していた20201年秋に目の病気を発症した。オリンピックとパラリンピックの両方の出場を目指すことを公言し、異色の“二刀流”スイマーとして注目を浴びている。
 しかし、3月のパリ五輪選考会で敗退し、パリ五輪への道は絶たれてしまった。さらに、パラリンピックの出場資格である国際クラス分けを受験するための医学的診断書に記載する病名が定まらないという理由で、現在は国内のみの競技活動に止まっている。
 石原は「(落選は)最初本当に落ち込んだし、3年間本気でやってきたので、その分のショックやダメージは大きかった。自分の泳ぎを見直し、もっと早くなれる時間を与えられたと思って、気持ちを切り替えて前に進んでいます」と心境を語った。今大会について「試合がないとモチベーションが切れてしまったりするので、定期的に試合があるおかげでモチベーションになっています」と微笑んだ。石原は「ここから成長した姿をみせたい。ロサンゼルス2028の方向もすでに考えているし、オリ・パラ二刀流を実現させて、世界で戦えるということを見せるために、4年間死ぬ気で頑張りたい」と前を向いた。

「早く一緒に争えるぐらいになりたい」石原に続き、木下あいら(三菱商事)も200m個人メドレーで優勝

 女子200m個人メドレーS14(知的障害)では木下あいら(三菱商事)が02:29:28で優勝した。

女子200m個人メドレーS1 4を泳ぐ木下あいら 写真・秋冨哲生
女子200m個人メドレーS14表彰式。中央が木下あいら 写真・秋冨哲生

 木下は、2022年よりジャパンパラ競技大会に出場。ここで本格的にパラ水泳の競技を始めた。昨年より海外遠征にも出場し、8月の世界選手権では銀メダルを獲得した。短期間に数々の日本記録やアジア記録を更新し続ける注目のスーパー高校生だ。今夏に開催されるパリ2024パラリンピックの切符もすでに手にしている。
 レース後の取材に対し、木下は「予選から結構タイムが悪くて落ち込んでしまった。決勝でタイムをあげれたからよかったけど、それでもまだ遅いので今日はあまり納得いかなかった」と振り返った。 また同種目で予選を共に泳いだ石原について「レベルが違いすぎて全然ついていけなかった。早く一緒に争えるぐらいになりたい」といい、「石原選手についていけるぐらいになれば、健常など大きな大会に出られる。まずは自己ベストを目指して頑張りたい」と前を向いた。

 また石原はこれに対し、「あいらとは最近仲良くなって一緒に泳げてうれしいと言ってくれて、パラでも居場所ができた気がします」と笑顔で振り返っている。

 石原がきてくれたことで、オリ・パラが繋がり、よき友となり、よきライバルにもなり得る。2人のスイマーが今後、どんなドラマを見せてくれるのか期待したい。

(校正・佐々木延江、地主光太郎)

この記事にコメントする

記事の訂正はこちら(メールソフトが開きます)