千葉ポートアリーナで行われている「第25回車いすラグビー日本選手権大会」は13日、2日目を迎えた。
日本選手権は国内最高峰の大会で、地方予選を勝ち抜いた8チームが日本一の座をかけて激突している。
予選は4チームずつ、AとBの2つのプールに分かれて行われており、このうちBプールではFukuoka DANDELIONは明日の3位決定戦に進むことになった。
Fukuoka DANDELIONは日本代表の乗松聖矢(1.5)が所属するチーム。23歳の草場隆治(1.0)と29歳の安藤夏輝(0.5)は昨年10月の「International Wheelchair Rugby Cup Paris 2023(国際車いすラグビーカップ)」で代表として選出されるなど、若手選手が台頭していることでも注目されている。
安藤はFukuoka DANDELIONでのキャプテンも任されるようになり、「海外の0.5の選手のプレーを間近で見る機会が増えたので、国内でもしっかり生かせるようになりたい。車いすラグビーに出会わなければこんなに国内外を飛び回ることもなかったので、障害を持つ人たちが一歩踏み出すきっかけになれたら」と話す。
また「世界の1.0になれる素質がある」と先輩からも称される草場は、「先輩たちにまだまだ引っ張ってもらっているので、声をたくさん出して、信頼されるような選手になりたい」と意気込んだ。
AプールのAXEは、5位6位決定戦に進出した。AXEは今シーズンにチーム体制を変え、日本代表の副キャプテン・羽賀理之(2.0)がヘッドコーチ、倉橋香衣がアシスタントコーチに就任。さらに14歳の島崎瑛漣(2.0)、20歳の女子選手・貝谷紗璃菜(3.0F)などの新しい選手がデビューするなど、人数も増えた。
乗松隆由(1.5/AXE)は「勝つことはもちろんのこと、若い選手が経験を積んで日本代表を目指していくことが、日本選手権が存在する意味だと思う。若手に基礎から教えることで自分たちも勉強になるし、みんなで成長していく雰囲気がAXEにはある」。
羽賀は「プレッシャーのかかる場面で若手を使って成長させていきたい」と大会の狙いを語った。
パリへ向けた選手たちのアピールの場であるとともに、若手の実践の場としても大きな価値のある日本選手権大会。ぜひ、若い選手たちの頑張りにも注目してもらいたい。
一方、日本代表の島川慎一(3.0)率いるBLITZには今シーズン、日本のエース池崎大輔(3.0)が加入。東京パラリンピックや世界選手権を経験したメンバーが4人も在籍することになり、「大型補強」となった。BLITZは優勝こそ2015年以来遠ざかっているが、これまでに最多優勝回数を誇る古豪チームだ。
「戦力が偏るのではないか」という声が競技内で上がっていたこともあったが、元日本代表で連盟の理事を務める田村学(2.5)は「かつてのプロ野球巨人が9連覇して1強時代があったときのように、車いすラグビーにも圧倒的に強いチームがあっていいと思う。倒したいと思われるチームになることで、他のチームが奮起してレベルが上がっていく。だから徹底的に勝ちにこだわる」と意気込んだ。
明日は大会最終日。BLITZは圧倒的な強さで優勝できるのか、勝負の行方から目が離せない。
(写真提供・内田和稔 校正・佐々木延江)