関連カテゴリ: ボッチャ, 国際大会, 夏季競技, 新着, 観戦レポート, 重度障害, 香港 — 公開: 2023年12月10日 at 12:00 AM — 更新: 2023年12月21日 at 12:28 PM

ボッチャ アジア・オセアニア選手権、遠藤裕美、一戸綾音が準優勝!

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香港で開催中のボッチャのアジア・オセアニア選手権にて、BC1クラス女子遠藤裕美、BC3クラス女子一戸綾音が個人戦でともに準優勝を果たした。

ボッチャのアジア・オセアニア選手権Hong Kong 2023 Asia-Oceania Regional Championships が香港にて12月6日に開幕、個人戦が9日午前まで行われ、BC1クラス(注1)女子遠藤裕美、BC3クラス(注2)女子一戸(いちのえ)綾音が準優勝、銀メダルを獲得した。 

サウスポーからのダイナミックな投球の遠藤裕美

BC1遠藤裕美は、予選プールを5-1、18-0、5-2と勝ち上がり、ベスト4へ進出。
準決勝ではマレーシアのAngeline Melissa Anak Lawasと対戦。第1エンド、ダイナミックなオーバースローから得意のロングの位置にジャックボールを置き1-0と先制。
第2エンドに同点に追いつかれたが、再びロングでの攻防となった第3エンド最終投球6投目。
「必死過ぎて…、ボールがジャックに届いてくれれば」との思いで投じた球は、ジャックボールに吸い寄せられ2点を加算、3-1とした。  
遠藤は元々、遠投、longは得意だが、世界でも通用するという大きな手応えを感じたという。
「いつも通りに練習してきたことをやれば」「1点でも多く取れば上に上がれる」との思い通り、最終エンドに1点を返されたが、国際大会初の決勝進出を果たした。 

ロングに投げる遠藤裕美

決勝では、0-9と敗れたが「決勝に上がることを目標にしていたので、目標は達成できた。(国際大会での)最高順位はこれまで5位だったので2位はとても嬉しい。パリパラリンピック に出場できるようにこれからも練習を積んで、(パリでも)決勝に出て試合ができれば」と思いを語った。

銀メダルを手にし笑顔の遠藤裕美(左)、後ろはスポーツアシスタントで母の遠藤さとみ

一方、BC3クラスの一戸綾音は、劇的な試合の連続だった。予選プール第1戦は3-1で勝利。第2戦は世界ランキング4位のオーストラリア Jamieson Leesonと対戦。
最終エンド最終投球の時点で1-3と劣勢の展開。「タイブレークで勝つ自信がなかったので、3点取って決めてやると狙っていきました」と振り返る一投で、一気に3点を奪い、4-3と劇的な逆転勝利。

身を乗り出して狙いを定める一戸彩音、左はランプオペレーターで父の一戸賢司 

準々決勝では、シンガポールNurulasyiqah Mohammad Tahaを4-1で下してベスト4に進出すると、準決勝は韓国Yejin Choiとの対戦。
第3エンドを終え3-1とリードしていたが、最終エンド韓国選手の最終投球で3失点、3-4と逆転を許す。
しかし韓国のランプオペレーターが反則を取られ、一戸にペナルティボールが与えられる。
「ペナルティは緊張しましたが、日本でたくさん練習してきていたので練習通りにできました」と振り返ったように、コート中央のクロスにピタリと入れ、タイブレークに持ち込んだ。
一戸は勢いに乗ってタイブレークを制し、初の決勝進出を果たした。

準決勝に勝利し、思わずガッツポーズの一戸彩音

決勝は世界ランキング1位、地元香港のYuen Kei Ho。
第1エンド2点を先制されるものの、第2エンド3投4投目でジャックボールにピタリと寄せ、思わずガッツポーズと雄叫びが出るナイスショットもあり、2-2と同点に追いつく。
しかし第3第4エンドに1点ずつ取られて2-4と敗れた。
試合後、一戸はYuen Kei Hoから「Good game!」と声をかけられた。

優勝した選手から「Good game!」と声をかけられる一戸彩音

「日本からたくさん応援していただいて、普段の実力以上のものを出せたと思います」と一戸は個人戦を振り返る。
一戸は国際大会3度目の出場で、8位、4位、2位と順位を上げてきた。高校3年生の成長曲線は止まるところを知らない。

父でランプオペレーターの一戸賢司は「他人事のようですが、凄いですよね。この子はまだ高校生なので、土日しか練習ができないなかで目一杯やれることをやってきたことが、こうして結果に出たので凄く嬉しく思っています」と喜びを語った。

銀メダルを胸に笑顔の一戸彩音とランプオペレーターで父の一戸賢司

個人戦が終わり、大会はチーム、ペア戦に突入した。
一戸のBC3ペアは今大会ベスト4の河本圭亮。「河本選手も調子が良いので、2人の調子の良さを合わせて優勝目指して頑張りたいと思います」とペア戦に向けての抱負を語った。
この大会でペア戦、チーム戦で優勝するとパリパラリンピックの出場枠を得ることができる。
遠藤裕美は、BC2杉村英孝、広瀬隆喜と3人でのチーム戦に臨む。
チーム、ペア戦は11日まで行われる。
(注1)BC1クラス
車いす操作不可で四肢・体幹に重度の麻痺がある脳原性疾患のみのクラス。アシスタントも付けることができる。
(注2)BC3クラス
車いす操作不可で四肢・体幹に重度の麻痺などがあるクラス
ランプと呼ばれる勾配具を使用して投球。アシスタントであるランプオペレーターが選手の指示により操作する。

(校正・地主光太郎、そうとめよしえ、佐々木延江)

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