10月22日から28日まで中国浙江省杭州で開催される、杭州2022アジアパラ競技大会の日本選手団結団式が成田空港に近いホテルで行われた。
国歌斉唱に続き、三井利仁副団長が競技団体の選手とスタッフの人数を読み上げ、団旗が授与された。
アジアパラ日本代表選手団は、選手259名、競技パートナー8名、コーチ・スタッフ136名、本部役員スタッフ27名からなる総勢430名。
選手のうち10〜20歳代が半数以上、東京パラリンピックに出場した選手が約半数で構成されている。特に、7年前から始まったパラリンピックのタレント発掘事業「J-STAR」を通じて6競技18名が代表入りしたことは日本のパラスポーツの成長として注目したい。
日本チームは杭州で開催される22競技のうち20競技に出場する。卓球・射撃・車いすテニスではパリパラリンピックの出場権がかかっている。
井田朋宏団長は、「ベテラン、中堅、若手、トップ選手から次世代を担う選手まで非常に多岐にわたる選手で構成されたチームとなりました。選手の皆さんには悔いの残らないようにしっかりと準備をして臨んでほしい。スタッフの皆さんには選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう最大限ご支援をお願いします。選手団本部もオールジャパン体制でサポートします」と日本選手団の概要を紹介し、挨拶の言葉を述べた。
主将を務める卓球の岩渕幸洋(東京都・協和発酵キリン卓球部)は、「先日閉幕した杭州2022アジア大会では日本代表選手の皆様が自身の競技に真摯に取り組み、ベストを尽くす姿が大きな感動を与えてくれました。あらためてチームジャパンの強さ、スポーツのもつ影響力の強さを感じました。
出場する選手、スタッフの皆さんすべてがこの瞬間を楽しんで、精一杯パフォーマンスをすることで、感謝の思い、競技に対する思い、それぞれ胸の内に秘める思いを周りの人に感じてもらえるようなパフォーマンスができるよう頑張って行きましょう」と誓いの言葉を述べた。
結団式のあと、旗手、主将、団長の囲み取材が行われた。
旗手を務めるシッティングバレーボールの波田みか(埼玉県・東京プラネッツ女組)は、22歳・大学4年生で東京パラリンピックはボランティアとして参加した経験を持つ。
「旗手の役割は大変光栄です。7月にアジアオセアニア大会で中国とイランに負けてしまったので、まずはイランに勝ち、強豪の中国と勝負をすることを目標にしています。旗手としては皆さんの思いを運び、チームとしてはメダルを取り次につなげる大会にしたい」と語った。
主将の岩渕は、「東京パラでは旗手をして、今回このような役割をいただけて驚き、光栄です」と語り、自身の競技について「アジアパラは緊張感の高い大会になる。自分の強みを今一度確認して質をあげる。そこで優位に立てれば試合も優位に進められる。何か新しいチャレンジというよりは自分のできることの質を最大限高めていきたい。シングルスでの金メダル、ダブルスでも一つでも多くの試合を戦いたい」と目標を述べ、1年後のパリパラリンピック出場権獲得について「1年延期になったからこそ、この大会がパリへの選考になった。こういった格式の高い大会でパリへの出場権を争えるのはすごく幸せ」と向き合った。
井田団長は、「杭州ではどんな競技生活を楽しめるか?」という質問に対して次のように話していた。
「(アジア大会の情報では)競技運営はテキパキとやられているようで、安心して(試合の)準備ができることを感じます。食事の面でも美味しく食べられていると聞いています。選手村も立派で、全体の空気感は良い。競技別の大会にはない選手村での生活は、パラリンピックに近いものを経験できるでしょう。日本チームの構成がベテラン、中堅といますので、この機会にベテランから教わったり、若い選手同士交流したり、あるいは競技をまたいでコミュニケーションする機会にもなる。そういった経験をアスリートとしてポジティブにとらえて楽しんでもらえたらと思っています」
この日、結団式に出席した選手131名とスタッフ58名は、翌日の10月19日に成田空港を出発し、杭州の選手村に合流する。アジアパラ競技大会の開会式は22日に行われる。
(写真・地主光太郎 校正・中村和彦)