横浜国際プールで行われている「ジャパンパラ水泳競技大会」は9月17日、2日目を迎えた。
午後の決勝の前には、来月開催される「アジアパラ競技大会」(中国・杭州)の壮行会がプールサイドで行われ、キャプテンを務める宇津木美都(大阪体育大学/右腕欠損)は「若手が多く出場するので私としてもすごく嬉しいし、活気のあるチームになるのではないかと思う。年齢やクラス関係なく、全員で鼓舞しながら頑張っていきたい」と意気込みを語った。
次世代の選手たちがアジア記録連発
今年8月の世界選手権で銀メダルを獲得した高校生の木下あいら(三菱商事/知的障害クラス)は、この日は女子100m自由形に登場。1分00秒91をマークした。また女子200m個人メドレーにも出場し、2分27秒82の大会新記録も樹立した。
2歳から水泳を始めた木下は、現在17歳。去年から本格的にパラ水泳の世界に飛び込んだ。1年前のジャパンパラ競技大会では、200メートル自由形の予選と決勝で日本記録を更新。以後、大会のたびに複数種目で記録を伸ばしてきた。
今年に入って初めて海外への遠征や日本代表合宿を経験したほか、初出場となった8月の世界選手権(イギリス・マンチェスター)では2種目(200m自由形、200m個人メドレー)でアジア新記録を樹立。そして、200m個人メドレーで銀メダルを獲得し、日本にパリパラリンピック出場枠を勝ち取るという快挙を成し遂げた。
今大会は、100mバタフライや100m平泳ぎ、100m背泳ぎなど3日間で6種目にエントリー12レースを泳ぐ。200m個人メドレーを得意としているが、パリでは「他の種目でもメダルを取りたい」という。課題のスタートやターンを強化し、さらなる飛躍を目指す。
20歳の南井瑛翔(近畿大学/右足先欠損)が男子200m個人メドレー(SM10)で2分20秒23をマーク、アジア新記録を更新した。
南井は生まれつき左足首から先の欠損の障害を持ち、身体障害では一番軽いクラスに属している。水泳の強豪、近畿大学に進学し、東京パラリンピックにも出場した若きホープだ。
今大会で記録が出た要因の一つは、自由形の呼吸の向き。左呼吸から右呼吸に変えたことで、疲労感を軽減しながら泳ぐことに成功したという。
来月のアジアパラ競技大会については、「見据えているのはあくまでもパリなので、アジアパラはメダルというよりも課題をもって取り組む大会にしたい」と話した。また、パリパラリンピックについては、「大学4年生で臨む大会なので、集大成として周囲に恩返しできるよう、メダルを狙いたい」と意気込んだ。
2019年からの世界選手権、東京パラリンピックと経験した23歳の芹澤美希香(宮前ドルフィン/知的障害クラス)は女子100m平泳ぎで1分17秒03と、この日は3人の若手がアジア記録を更新。次世代を担う若手選手の活躍が目立った。
<参考>
YouTubeライブ
・2023 ジャパンパラ 水泳競技大会 1日目
・2023 ジャパンパラ 水泳競技大会 2日目
・2023 ジャパンパラ 水泳競技大会 3日目
大会公式ページ/知って楽しいジャパラガイド
https://www.parasports.or.jp/japanpara/swimming/guide.html
(校正・佐々木延江、地主光太郎)