8月14日から「IBSA ブラインドサッカー世界選手権 2023」がバーミンガム(イギリス)で開催される。男子は1998年より開催され、今回が9回目の大会であり、来年のパリパラリンピックへの出場権がかかっている。
一方、女子は2020年11月にナイジェリアで開催が予定されていたがコロナ禍で21年に延期するも、結局中止となり、今回が初の開催となる。イングランド、モロッコ、日本、スウェーデン、インド、アルゼンチン、ドイツ、オーストリアの8カ国の間で初代王者が争われる。日本は優勝候補であり、本稿では、ブラインドサッカー女子世界選手権2023までの経緯、対戦チームとの歴史を紹介したい。
最初の女子日本代表は2017年4月に結成された。今回選出された加賀美和子、菊島宙、鈴木里佳、寺林眞智子の4名はその時以来のメンバーである。同年5月にウィーン(オーストリア)で開催されたIBSA 女子ブランドサッカートーナメントに唯一「国代表」として参加し、イングランド・ギリシャ選抜、IBSA選抜(11カ国の選手で構成)、ロシア・カナダ選抜に対して全勝で優勝した。当時14歳だった菊島宙は全得点6点を決めた。
2018年から開催されたさいたま市ノーマライゼーションカップでは、同年アルゼンチン選抜に、2019年はIBSA世界選抜(8カ国の選手で構成)に、2020年には再びアルゼンチン選抜と対戦し、全勝。この3回の大会で日本があげた総得点25点中、菊島は23点を決めている。
今回の世界選手権に向けて開催された2022年のアジア・オセアニア選手権ではインドに2勝して優勝。総得点3点すべて菊島が叩きだした。海外のチームと対戦した試合において得点した32点中、30点を菊島が決めており、菊島はまさに日本代表のエースである。
その日本代表のライバルとなりそうなのが、ドイツ、アルゼンチンである。山本夏幹監督は、7月29日に行われた壮行会でこの2カ国を名指しで警戒し、エース・菊島も「グループステージは別の組で安心した」と語っていた。
ドイツの16歳のトーヤ・キュスタは、2022年5月に開催されたヨーロッパ選手権でイングランドと2戦し、両試合でハットトリック、合計8点を叩き出しており要注意選手だ。彼女は9歳からブラインドサッカーを始め、現在ドイツのBlind football bundesligaで男子にまじってプレーしている。
日本は14日からのグループステージで、イングランド、スウェーデン、モロッコの順に対戦する。
初戦イングランド(日本時間 8月14日18:30):
2022年5月から新チームでトレーニングキャンプを行い練習を積んでいる。21年8月からプレーを始めた選手や、ゴールボールから転向した選手などで構成される若いチームだ。22年のヨーロッパ選手権で初のIBSA公式戦を戦った。開催国のイングランドに対して日本は、8月12日に日本を発ち到着してすぐの対戦となる。「(イングランドは)ホームなのでしっかり準備してくるだろう、こちらも日本での直前合宿で頭、技、体を含め初戦から力を出せるよう準備していく」と山本監督は壮行会で語っていた。
2戦目スウェーデン(日本時間 8月15日16:30):
2014年からブラインドサッカーに取り組み、現在の女子代表は、2021年10月よりトレーニングを始めた。ヨーロッパチャレンジカップ2022に男女混合チームとして参加。女子代表として今大会が初めてのIBSA公式試合となる。
3戦目モロッコ(日本時間 8月17日16:30):
2021年4月に結された新しいチーム。2022年に自国で開催されるはずだったアフリカ選手権が開催されず、今回が初のIBSA公式試合となる。
予選全試合の日本語解説付きライブストリーミングはJBFA公式Youtubeチャンネルより配信される予定だ。是非一緒に日本からの声援をバーミンガムに届け、大会の成功ひいてはパラリンピック正式種目に向けての一歩を刻みたい。
2023年8月12日〜21日(会場:University of Birmingham Bournbrook Pitches)
(時間は日本時間)
グループA:モロッコ、イングランド、日本、スウェーデン
グループB:インド、アルゼンチン、ドイツ、オーストリア
8/14 18:30- イングランド戦
8/15 16:30- スウェーデン戦
8/17 16:30- モロッコ戦
8/20 16:30- もしくは 18:30- 準決勝(グループステージの順位による)
8/22 3:00- 決勝
※日本ブラインドサッカー協会では今回の男子・女子ブランドサッカー日本代表とロービジョンフットサル日本代表を派遣する遠征費2,350万円の一部をクラウドファンディングで募っている。8月11日16時時点で目標の800万円に対して、81%の進捗率だ。8月一杯支援を受け付けているので、ぜひサポートをお願いしたい。
(校正・中村和彦、佐々木延江、そうとめよしえ)