パリパラリンピックの出場権をかけた「三井不動産 2023 ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」は大会3日目、予選の日程をすべて終了した。日本は6戦全勝で、あすのオーストラリアとの決勝を控えている。
予選は日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国の4ヶ国総当たりで行われた。昨日(6月30日)時点で4勝0敗の日本はすでに決勝進出を決めており、ともに2敗していたオーストラリアとニュージーランドが今日直接対決をし、オーストラリアが勝って日本とあす戦うことになった。
手話通訳の橋本一郎さん
今回、大会運営はさまざまな工夫を凝らしており、タオルやガチャガチャなどの応援グッズを販売したり、小中学校を招待するほか、手話通訳優先席を設けている。
通訳を務めたのは、手話通訳士の橋本一郎さん。ろう学校の教師としての経歴があるほか、東京パラリンピックはもちろん、さまざまなパラスポーツの現場やイベントにも携わっている。これまでもパラスポーツの会場に聴覚障害の友人や生徒と一緒に訪れて手話で説明していた。そんな橋本さんに今回、日本車いすラグビー連盟が手話通訳を依頼したということだ。
試合中は車いすラグビーの基本的なルールのほか、選手たちのタイムマネジメントやファウル、タイムアウトなど、さまざまな状況を橋本さん自身の手話で説明していた。
実際に手話通訳優先席で観戦したパラフォトメンバーで聴覚障害を持っている粟田修平氏は、「補聴器を装用してても聞き取りづらいことがあるので、手話通訳があると安心して楽しめた」という。手話とプレーを一緒に目で見るのは当事者にとっては忙しい(?)かもしれないが、新たな取り組みとして、モデルケースになりそうだ。
(写真取材・秋冨哲生 校正・佐々木延江、そうとめよしえ)