5月21日、しながわ中央公園(東京都品川区)にてブラインドサッカーの地域リーグ 東日本リーグ2023 in 品川が開催された。今回は、ファンタス千葉SSC 松戸ウォーリアーズ、free bird mejirodai、パペレシアル品川、ソイエ葛飾の4チームが参加してトーナメント形式で順位を競った。
5月23日(日本時間)よりスタートするIBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ2023(ブラジル)に、品川から川村怜、佐々木ロベルト泉が、mejirodaiから丹羽海斗、鳥居健人、永盛楓人、泉健也が日本代表として参加しており、両チームは主力を欠いて大会を迎えた。「若手中心で行こうとチームで話した」(mejirodai 若杉遥)というコメントの通り、若手が経験を積み躍動する大会となった。品川がMejirodaiを決勝で下し1位となった。
出場した選手の中では、ナショナルトレセンチームのメンバーにも選ばれている品川の森田翼(背番号20)が葛飾戦でのハットトリックを含む5得点と活躍した。チームメイトの井上流衣(背番号2)は3得点、佐藤良太(背番号26)は公式戦初得点を決めた。ナショナルトレセンチームに選ばれている葛飾の増田周平(背番号7)や、ユーストレセンチーム(小学校高学年から20歳前後までで構成)のメンバーであるmejirodaiの北郷宗大(背番号15)は共に2得点を決めた。東京パラリンピック日本代表の品川の寺西一(背番号9)、松戸の佐々木康裕(背番号10)らベテランも共に1点を決めた。女子の日本代表強化指定選手に選ばれているmejirodaiの若杉遥(背番号14)もフル出場を果たした。
試合後、品川の森田は「日本選手権の準決勝・決勝ではチャンスがある中でゴールが取れなかった。取れる時間帯にしっかり取ること、行くところ、行かないところ、流れを意識することをテーマとして取り組み、結果として点を取ることができた」と語った。
決勝戦の第1ピリオド15分の2連続ゴールは圧巻であった。品川のキャプテンの井上流衣(背番号2)は「普段練習してできていることを試合で発揮できた。理想に向けてはまだまだ、伸び代はあると感じた」と語った。
チャレンジという意味では、葛飾の辻一幸(背番号15)を紹介したい。辻は8月に開催されるロービジョンフットサル世界選手権(イギリス)での日本代表入りを目指している。現在41歳の辻は視覚障害があることがわかった32歳からロービジョンフットサルに取り組んでいる。進行性の障害であり、2017年イタリアで開催されたロービジョンフットサル世界選手権への参加をきっかけに「見えないからできないと言うのも嫌だった」と視覚を遮断してプレーするブラインドサッカーにも取り組むようになった。「視覚に頼らないでパスを出せるようになり、空間認知能力も上がった」と語る。代表入りに向けて「もう、時間がないので、体作りして一生懸命アピールしたい」と語った。
地域でのブラインドサッカーの浸透
会場となった品川区は2016年より日本ブラインドサッカー協会とパートナーシップ協定を結び、ブラインドサッカー国際大会IBSAワールドグランプリやトップリーグLIGA.i、ブラインドサッカー東日本リーグの区内開催の他、出前教室などの普及活動を実施してきた。
今回は、品川区商店街連合会による飲食ブースの出店もあり、多くの人々がブラインドサッカーの観戦と交流を楽しんだ。手話通訳者とともに耳の不自由なグループも来場し、熱心に観戦していた。コロナ明けの開放感と、観客席のにぎわいと地域への浸透を感じることのできる大会となった。
7月22日には、品川区立総合体育館でLIGA.i ブラインドサッカートップリーグ2023が開催される。地域あげての活動がどう広がっていくのか楽しみだ。
(校正・中村和彦、佐々木延江、そうとめよしえ)