10月23日、仁川2014アジアパラ・水泳競技5日目・最終日は、キャプテン・木村敬一が100Mバタフライで金メダルを獲得。木村は「4泳法すべてでメダル」という快挙をなし遂げた。
「ベストを更新したかったが、記録としてはだいぶ伸び悩んだものでよくなかった。キャプテンとして最低限のことはしたつもりだが、水泳チーム目標のメダル60には届かず、悔しい。大事なことは、これらの結果を持ち帰り、リオに向けて課題を整理していくことだと思う」と、競技後に話してくれた。
ーーアジアの選手は増えたと感じるか?という質問をしてみた。水泳に限らず、海外選手が強くなっており、アジア大会といっても4年前とは違ってアジアも成長している、という声も期間中何度か耳にしていたからだ。しかし、木村の答えは逆だった。
「自分のクラスは人数が足りず、一つ上のクラスと一緒に泳いだ。それでも(不利な自分が)優勝できてしまうということは、選手が増えている感じはしない」と答えてくれた。今回、木村は金メダル4、銀メダル1、銅メダル1を獲得しているが、それは本来のクラス(S11)の人数が少なく、一つ障がいの軽いS12クラスで泳いだ結果である。アジアはそれでも勝ててしまうほど、視覚障害の競技人口が少ないといえるだろう。世界選手権やパラリンピックではもちろん同じクラスで競うし、簡単に勝つことはできない。
また、日本チームの最後を、ベテラン鈴木孝幸が金メダルで締めくくった。自らワールドレコードをもつ50M平泳ぎS5で、他には譲れない種目だった。
「50秒切りが目標だったから少し残念ですが、8月のヨーロッパ選手権でのライバルのタイムに勝ててよかった!」と笑顔だった。
アジア大会での成果については、「アジアとくに中国の脅威になる選手の情報を集められたこと。チームではメダルもとれ、自己ベスト更新もあってよかったが、これからどうやっていくのかが何より大事」とのことだった。
期間中、寺田雅裕監督は「ここにいる選手たちは、リオ代表候補たち。知的障がいも含め、一緒にいることでチームづくりがすでに始まっている」と話していた。
今回、選手の多くが過密な日程のなかで自己ベスト更新に取り組んだ。それぞれ、リオ、東京への手がかりを掴むことはできただろうか。
<金メダル>
木村敬一(24歳・東京ガス)男子100MバタフライS12 1:4.58
鈴木孝幸(27歳・ゴールドウィン)男子50M平泳ぎSB3 50:17
<銅メダル>
一ノ瀬メイ(17歳・京都市) 女子100M背泳ぎS9 ★自己ベスト
間ノ瀬俊輔(21歳・フェニックスリゾート)男子100M背泳ぎS10
藤原光里(16歳・兵庫県)女子50M自由形S8
江島大佑(28歳・シグマクシス)男子50M自由形S7
合計メダル 金16、銀14、銅22 合計52(総合計)