仁川2014アジアパラ競技大会もあと2日となった、メインスタジアム。
日本を代表するトラックレーサーの走りを伝えたいと、800Mのレースが行なわれる陸上競技場を訪れた。
写真は、T54クラスのゴールシーン。800Mでは世界ランキング6位のトラックレーサー、強豪国スイスやイギリスのマラソン・ランナーも重視する樋口政幸がそこにトップで現れるはずだった。しかし、ほぼ固まった状態で向かってくるその集団の中に目をこらしても、樋口はみあたらない。
レースは4カ国から8名が出場、樋口のスタートは5レーン。樋口はいつものとおり落ち着いてスタートをした。スタート直後からほぼ集団の塊になった8人はそのままの体勢で、あるいはおそらく国ごとに壁をつくりライバルを閉め出し状態にして、一斉にゴールへ向かったのだ。
ゴール後、カーブを曲がって行く韓国選手のうしろから、樋口が姿を現した。3人のタイの選手と、3人の中国の選手のチームに挟まれて、韓国の選手が外側にはじき出され、樋口の進路が阻まれていたのだろう。トップから3位はタイの選手で、4位、5位が中国、6位が樋口で、7位も中国。トップ選手のタイムは1:35.52の大会新記録だった。樋口の前にいた韓国選手はリタイヤのようだった。
「(もっている力を)出し切った」と、樋口。ロンドン後、トラックレースの研究と練習をしてきた樋口は、このレースに全力でぶつかった。
「(アジアのほうが)世界選手権よりレベルが高い。4年前の広州では、タイのプラワット選手ぐらいだったが、タイにも中国にも選手が増えている!」と。レースを終え、悔しさも大きいことと思うが、それ以上にアジアトップの成長に驚いているような一言だった。
いずれにせよ、レースで感じとったことが強ければ、樋口はそれをつぎにつなげようと考えてくれるに違いない。