3月4日〜5日に静岡県富士市で開催されたパラ水泳日本代表選考会・春季チャレンジレースに、オリンピックを目指す世界ジュニア選手権銅メダルの21歳、石原愛依(神奈川大学)が、2年前視覚障害を発症し、S13のクラス分けを受けて出場、パラ水泳にデビューした。7月に出身の福岡で開催される(健常の)世界水泳2023への出場、そして来年のパリオリンピック、パラリンピックを目指す。
大会1日目の100メートル平泳ぎS13がパラ・デビューとなった石原は、日本記録を9秒塗り替えた(01:10.09)。
「緊張して心臓が飛び出そうでしたが、一人一つのレーンでやることは同じなのでリラックスして泳げました」と感想を話した。
コースロープは見えず、照明により壁も見えず、プール下の線もわからないときがあるという。「波や感覚、ストローク数で泳いでいます」と、泳ぎの状況を話してくれた。
2日目は200メートル個人メドレーS13を世界記録より6秒速い02:15.00で泳いだ。国内クラスを取得したばかりの石原の記録はいずれも日本記録になる。診断書など国際クラス分けの準備が出来次第、ワールドシリーズにエントリーする予定だと上垣匠パラ水泳日本代表ヘッドコーチは記者会見で説明していた。
200メートル個人メドレー後のインタビューでは「目標は14秒台と決めて挑んでいたので15秒台はまあまあです。4月の(世界選手権の)選考会にむけてはいいスタートと思います」と石原は話した。
地元福岡県で開催される世界水泳に日本代表として出場するための選考会を控え、そこでも200メートル個人メドレーが重要な位置付けとなっているようだ。
「一生に一度の地元開催の機会。つぎに(地元に)帰るときは代表になって帰り、地元の方に恩返しできるいいレースにしたい」と大会出場への思いを口にした。
初めてのパラ水泳チャレンジにむけ昨年11月、長野で行われたパラ水泳日本選手権を石原は見学した。実際の大会に出場して「最初は周りも誰も知らない状態で右も左もわからなかったが、声をかけてくださって、すごい待ってたよって言ってくださったことが嬉しい。この選択肢を選んでよかったとあらためて思いました」と、受け入れへの感謝を表していた。
(写真・秋冨哲生 校正・そうとめよしえ)