関連カテゴリ: サッカー, ブラインドサッカー, ブラインドスポーツ, 国内大会, 夏季競技, 大阪, 新着, 日本選手権 — 公開: 2022年12月19日 at 9:09 PM — 更新: 2023年1月10日 at 12:27 AM

第20回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権、準決勝ラウンドに進む8チームが確定

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ブラインドサッカー日本一を決める日本選手権の予選ラウンド前半の成田会場に続いて、後半2日間はJ-GREEN堺(大阪府堺市)に11のチームが出場、準決勝ラウンドへ進む8チームが確定した。試合の様子とチームの顔ぶれを現地からレポートした。

 ブラインドサッカーチームの日本一を決める第20回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権の予選ラウンドが12月17日(土)、18日(日)、成田会場に続いてJ-GREEN堺(大阪府堺市)にて開催された。北海道から沖縄までの11チームが参加し、3つのグループに分かれて総当たり戦のリーグ戦がおこなわれた。
 グループDはコルジャ仙台ブラインドサッカークラブ、大阪ダイバンズ、新潟フェニックスファイヤーズ、琉球Agachiによって争われ、それぞれの勝ち点は9点、6点、3点、0点であった。

積極的にシュートを放った仙台 斎藤陽翔/背番号11番 提供:鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会

 グループEはfree bird mejirodai、A-pfeile広島BFC、ナマーラ北海道、FCコレチーボ静岡で争われ、勝ち点はそれぞれ、7点、7点、3点、0点。

 パペレシアル品川、兵庫サムライスターズ、ゲートウェイやまぐちの3チームで争われたグループFはそれぞれ6点、3点、0点の勝ち点であった。

兵庫サムライスターズ対パペレシアル品川 試合終了後のパペレシアル品川 佐々⽊ロベルト泉/背番号7 左、川村怜/背番号5 提供:鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会

 この結果、各グループ首位のコルジャ仙台ブラインドサッカークラブ、free bird mejirodai、パペレシアル品川が準決勝ラウンドに進んだ。
 ワイルドカード(各組2位で最下位チームとの対戦を除く勝ち点でトップのチーム)はA-pfeile広島BFC(グループE 勝ち点4)が、大阪ダイバンズ(グループD 勝ち点3)、兵庫サムライスターズ(グループF勝ち点3)を抑えて準決勝ラウンドに進んだ。

準決勝ラウンドに進むチームに大きな影響があった一戦

 グループEのA-pfeile広島BFCとfree bird mejirodaiの一戦は、緊張感あふれる好ゲームとなった。free bird mejirodaiは園部優⽉、丹⽻海⽃、鳥居健人、GK泉健也といった日本代表を擁した前回日本選手権チャンピオン
 一方、A-pfeile広島BFCは中学生の林健太、森島爽平、高校生の矢次祐汰がスタメンの若いチームで、木村陽一監督がいう「フィジカルでは負けるが、走り負けない、気持ちで負けない」チームである。
 mejirodaiへのスカウティングを行い、対策を練って練習した「しっかり守ってカウンター」という作戦がはまり、第1ピリオドはmejirodaiのシュートを2本(筆者手元集計)、第2ピリオドもシュート数は手元集計3本に抑え、隙あらば林が相手陣地に切り込んだ。
 残り3分を切った相手コーナーキックの際には、守る広島の矢次が「勝つぞ!」と大きな声で檄を飛ばして味方を鼓舞。最後まで集中力を切らさずmejirodaiにゴールを許さず、0対0の引き分けで終えた。
 この引き分けで勝ち点1を得た広島は、グループE,Fの2位チームより勝ち点で上回ることができた。
 木村監督によれば、広島ではフェンスを使った練習ができず、実戦が少ないことが悩みだそうだ。「実戦が一番の練習であり、一つでも多く試合をしたい」という望みを手繰り寄せる試合となった。

mejirodaiの園部優⽉/背番号7をブロックする、A-pfeile広島BFC 森島爽平/背番号9、後藤将起/背番号22、林健太/背番号2、矢次祐汰(園部の影)提供:鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会

いくつかの参加チームから

 堺会場で一番若いチームは2020年に発足したゲートウェイやまぐちだ。地域のチームが活動していくためのスキル向上プログラム、アクサ地域リーダープログラム with ブラサカがきっかけで発足した。「健常者と障害者の架け橋になりたい」と、視覚障害者が1人もいない中でスタートした全国的にも珍しいブラサカチームだ。
 チーム代表の尾崎達也氏は、元々は吹奏楽のファゴット演奏が趣味でブラサカどころかサッカーは初心者。「それでも声をあげたら、あれよあれよと仲間が集まった。山口県障害者スポーツ協会の支援でフェンスも揃えることができた。周防大島町を拠点に広島、四国のチームとの連携も計画している」とのこと。
 高校3年生で弱視の谷川浩樹は「日本選手権で優勝して、自分たちのことをもっと知ってもらって、(障害者でも)できることがあることをことを示したい」という。チームは彼の思いをモチベーションにしている。
 通常練習は2名、多くても5名と少ないが、様々な人のサポートをうけ日本選手権に参加した。周防大島町での計画など今後のチームの成長が楽しみだ。

パペレシアル品川対ゲートウェイやまぐち ボールをキープする谷川浩樹/背番号8 提供:鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会

 一番遠くから堺にやってきた琉球Agachiは、協賛を受け、選手・スタッフ15名で3年ぶりに参加、他のチームとの交流をチーム代表の屋良景斗氏は喜んでいた。
 2週に1度10名程あつまってハーフコートで練習、2か月に1度体験会も開催している。試合を重ねるごとに守備はよくなるが「点を取れるようにしっかり練習したい」と目標を語る。もう一つの目標は、フェンスを持つこと。それが実現した際には「是非、あたたかい沖縄で大会をやりましょう」と語ってくれた。

待っている間、寒さで思わず身を縮める琉球Agachiの東江知代梨/背番号1 筆者撮影

 12月18日(日)は、沖縄から選手の家族など120名の来場者があり、成田・堺での予選4日間を通じて一番の集客となった。

 次は準決勝ラウンドで、年明け1月22日(日)サーラグリーンフィールド(浜北平口サッカー場/静岡県浜松市)で開催される。お近くの方はぜひ足を運んで様々なドラマを観戦していただきたい。

 <決勝ラウンド情報>
日程:2023年2月11日(土) 
会場:町田市立総合体育館(東京都町田市)
大会ホームページ http://axa-bravecup.b-soccer.jp/

(写真提供:鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会 校正 中村和彦、佐々木延江、そうとめよしえ)

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