「ヒューリック・ダイハツ BWF パラバドミントン世界選手権2022」最終日の2022年11月6日、各クラスの決勝戦が行われ、戦時下のウクライナから出場したスタンディングクラスのオクサーナ・コヅヤナ(女子SL3/ウクライナ)がハリメ・イルディス(女子SL3/トルコ)を20-22,21-18,21-14で制し、金メダルを手にした。
「どんな気持ちかなんて言い表せない。とても幸せで、この瞬間をかみしめている」ともうすぐ28歳になるオクサーナは笑顔で語った。そして「ともかく私を支えてくれたすべての人に感謝したい。まず、日本パラバドミントン連盟の平野理事長、そして私を支えてくれた日本の人たち、日本に来る前に私を助けてくれたフランスの人たちに感謝したい。今ウクライナはとても大変な時ですが、改めて、私はとても幸せです」と感謝の言葉を口にした。
今年2月に勃発したロシア軍によるウクライナ侵攻で、故郷が戦時下にあるウクライナのパラリンピック・アスリートたちを世界中のパラスポーツが支援する場面が何度となくあった。バドミントンにおいても例外ではなかった。今回の世界選手権参加については、ウクライナパラリンピック委員会からサポートの依頼があった。ウクライナチームは選手3名、コーチ1名で10月19日に現在の拠点のフランスから日本へやってきて、大会までの期間、東京都江戸川区のパラバドミントン専用体育館、ヒューリック西葛西体育館で日本チームの合宿に合流、日本選手らと練習や生活をともにしていた。
ウクライナのパラバドミントン、歴史の幕開け
金メダルを取ったことについて、ウクライナのコーチは、「まちがいなく、これは新しい歴史だ。ウクライナのバドミントンにとって初めての出来事だ。ウクライナではバドミントンは主流のスポーツではなかった。でも、これからは人気が増すだろう。そう信じる。オクサーナが歴史に名を刻み、ウクライナに初めての金メダルをもたらしてくれたのだから。ウクライナでは、サッカーやボクシング、水泳がとても人気があるが、これまで多くの人がバトミントンはアジアのスポーツだと思っていた。これから新しい歴史が始まる」と力強く語った。
(翻訳・地主光太郎 写真取材・秋冨哲生 編集・佐々木延江)