10月10日に始まった車いすラグビーの世界選手権(デンマーク)は15日、準決勝を迎える。
世界ランク1位の日本は、同3位のアメリカと対戦する。勝てば銀メダル以上確定という大きな山場だけに、激戦は必至となりそうだ。
日本の強みは「豊富なラインナップ」
日本の快進撃が止まらない。予選リーグを全勝しグループ1位通過すると、昨日の準々決勝でもニュージーランドに58-38と20点差をつけ、圧勝だった。
今大会の日本代表のメンバー12人は、東京パラリンピックと全く同じ顔ぶれ。しかし、この1年でチームは大きく成長した。
海外勢がメンバーを固定して戦うことが多い中で、日本は豊富なラインナップ(コート上のメンバーの組み合わせ)がそろっているため、相手チームにとっては対応しなければならないことが多く脅威となっている。さらに日本にとっては、選手たちのプレータイムに偏りがないため、疲労を軽減することもできるのだ。
①ハイローラインの多様化
車いすラグビーは、0.5(一番障害が重い)から3.5(一番障害が軽い)まで0.5刻みで7段階の持ち点が選手それぞれに与えられ、コート上の4人の持ち点の点数が8点以内になるようにしなければいけない。
今まで多かった組み合わせとしては「3-3-1-1」や「3ー3ー1.5ー0.5」などといった、いわゆる「ハイローライン」。
これに加え、橋本勝也(TOHOKU STORMERS)が昨年のクラシフィケーションで3から3.5に変更となったため、「3.5-3-1-0.5」というラインも使えるようになったことは大きい。
②バランスラインの成長
「ハイローライン」に対し、平均的な点数で組み合わされるのが「バランスライン」。主に「3ー2-2-1」がそうだ。格下のチームとの試合や大差で勝っているときなどに限定して使われていたが、この組み合わせの出番が増えている。
2点選手の中町俊耶(TOHOKU STORMERS)と羽賀理之(AXE)が切磋琢磨しあっていることで、2人のレベルが上がっていることも背景にある。パスが得意な中町とロングリーチが武器の羽賀、2人のビッグプレーにも注目だ。
準決勝、「3度目の正直」を
近年の大きな大会では、2019年の車いすラグビーワールドチャレンジ(東京)ではオーストラリアに、2021年の東京パラリンピックではイギリスに、それぞれ準決勝で敗れている。どちらも予選では調子がよかっただけに、日本の選手たちがショックで泣き崩れた姿が記憶に残っている人も多いだろう。
山場である準決勝を勝ち抜いて、世界選手権2連覇を目指してもらいたい。
10月15日 日本VSアメリカ 準決勝Live配信
https://2022wrwc.com/streaming/
(校正・佐々木延江、そうとめよしえ)