現在のパラアイスホッケーのルールでは、1国のチーム登録選手の中に女性1名の登録が認められている。北京パラリンピックのパラアイスホッケーでは、119人の男性登録選手と、1名の女性選手が登録された。それが、中国代表のJing YUだ。
中国チームととしてはグループBの予選1戦目、第2ピリオドにJing YUがパラリンピック初登場。2ピリオド目は他の選手の代わりだったというが、3ピリオドにはアイスタイムも増加。イタリアから6点を奪い、勝利した。試合後、
「今日の自分のパフォーマンスに満足している。国際女性デーに私がパラリンピックデビューできたことは、自分にとって大きなプレゼントとなった」と答えた。
女性パラアイスホッケー選手でパラリンピックに出場したのは、1994年のノルウェー代表のBrit Mjaasund Oeyen、2018年にLena Schroederに続きYUは3人目になる。
YU選手は、
「今日の私の出場をみて、同じようにこのステージにたてるチャンスがあると信じている他の女性が増えるといい。世界中の障がいのある女性が、ここに立つことは不可能ではないということ、なによりも私の姿を見て皆さんを勇気づけたらと思います。」と話した。
パラアイスホッケーは、選手たちのアグレッシブな氷上での動きから、「氷上の格闘技」とも呼ばれている。
もちろん普段のトレーニングから、男性の中で行なっているが、そんな男性の体当たりに対してYU選手は、
「一度ユニフォームを着ると、誰が誰と氷上の上では見分けがつかない。ただ、ユニフォームの色だけで、自分のチームか相手のチームかを見分ける。このスポーツをやっている以上体当たりは、避けられない。相手の体当たりは、怖くない。氷に乗る前から自信を持って乗っている。もし飛ばされたとしてもそれが、何? もう一度起き上がればいいだけ。」と強さを見せた。
この日は、カナダと韓国戦の第2ピリオド終了後の休憩時間にカナダのパラアイスホッケー女子代表のClair Buchananが女子のパラアイスホッケーの重要性と発展について、語った。
女子のパラアイスホッケーは2014年に初めてアギトス財団の助成プログラムによってキャンプが行われ、同年に世界初のアメリカ、カナダ、ヨーロッパ連合のチームでの女子パラアイスホッケー世界選手権が行われた。
女性選手だけで構成されるナショナルパラアイスホッケーチームがある国はまだまだ少ない。
今後のさらなるダイバーシティ&インクルージョン社会に向かって、ますます女子選手が増え、近い将来パラリンピックで女子同士の“氷上の格闘技”が見られることを強く願う。
(校正・佐々木延江)