北京パラリンピックの車いすカーリングは3月5日、ラウンドロビンが始まった。注目カードは、平昌パラリンピックで延長を制し初の金メダルを獲得した中国と、車いすカーリングが正式種目となった2006年トリノから3連覇を成し遂げた強豪国カナダの一戦だ。
2チームが初戦から対戦するということもあり、どんな試合になるか楽しみであった。
選手の注目は、両チームのスキップ。司令塔の試合の組み立て方に応じて、チームメイトがストーンの滑り具合やスピードをどのように調整し正確なショットをデリバリーするかというところだ。また前夜の練習では、リザーブ(5人目の選手)が氷の状態をチェックすることになっている。オリンピックのカーリングと同様、このリザーブの手腕も勝敗を左右する重要なカギとなっている。
中国のメンバーは、4年前の平昌から2人変わっている。1人はリードを務める、ヤン・ズオ(29歳)。去年の世界選手権(平昌)で金メダルを取ったメンバーだ。パラアーチェリーをしていたが、ルールの変更によって2019年から車いすカーリングに挑戦した。もう1人はセカンドを務める、ツハン・ミンリアン。2014年の国内大会(ハルビン)から車いすカーリングに参加し、2019年からは国際大会にもリザーブなどで出場している。一方のカナダは、平昌のときと入れ替わりがなく、同じメンバー構成となった。
「氷上のチェス」と呼ばれるカーリングにおいて重要な、司令塔の役割。両チームのスキップを紹介する。
Mark Ideson(カナダ)
1976年4月10日生まれ。大学を卒業後、ヘリコプターで操縦士をしていた。2007年、操縦していたヘリコプターがオンタリオ州のケンブリッジフィールドに事故で墜落し、四肢麻痺となる。2010年から車いすカーリングを始め、2013年の世界選手権(ロシア・ソチ)ではロシアとの試合で国際デビューを果たした。翌年には、ソチパラリンピックで金メダルを獲得。平昌では銅だったが、今回の北京ではリベンジに燃えている。
王海濤(wang haitao/中国)
1989年12月2日生まれ。9歳でポリオを発症し、2008年にハルビンで車いすカーリングを始める。2014年には、ソチパラリンピックに出場し4位入賞。2018年平昌では中国をスキップとして率い歴史を作った。中国はパラリンピックの車いすカーリングにおいてだけはでなく、冬のパラリンピックそのものの歴史の中でも初めて金メダルを獲得し、「ゼロの突破」を果たした。2021年中国で行われた世界選手権でも、スウェーデンを破って優勝し、金メダルをもたらした。
実績のある2人のスキップが、今回の北京パラリンピックでどのように冷静で正確な判断をし、チームを勝利に導くかに注目した。
その注目の試合の結果は…
中国対カナダの初戦はきのう行われ、カナダが7ー3で勝利した。
第1エンドでは、王がしっかりとクリアをして1点を先制。第2エンドに入りサーストン(カナダ)が1点を返して同点となる。
その後も互角の試合になるが、大きく動くのは第4エンド。カナダはフロントにガードを正確に置き、フォレスト(カナダ)が正確な位置にドローショットを決めた。王がヒットアンドロールを狙う。ストーンはサークル内に残ったが、サーストンがテイクアウトし3点を奪った。
第7エンドでもフォレストの正確なドローショットがサークルの中に決まり、カナダは追加で2点を奪う。
最終エンドの中国は追いかける展開となったが、サーストンがサークル内の中国のストーンをテイクアウトしはじき出したためコンシードとなり、カナダが勝利を飾った。カナダは、スキップをはじめとして選手たちが、しっかりとコミュニケーションをとりながら正確にショットを決めたことが勝因となった。
カナダはきのうの夜には、スイス戦を行い。8ー4で勝利をしている。
3月5日の試合結果
スイスースウェーデン 2ー9
中国ーカナダ 3ー7
スロバキアーアメリカ 9ー3
ノルウェー-イギリス 7ー5
ラトビアー韓国 8ー4
アメリカーイギリス 6ー10
カナダースイス 8ー4
3月6日は車いすカ-リングのラウンドロビン2日目。それぞれの国のこれからの戦いに目が離せない。