旭川市(北海道)で行われているノルディックスキーの強化合宿は1月13日、練習のメディア公開が行われた。北京パラリンピックまで50日を切る中、リレハンメル(ノルウェー)ではパラスノースポーツの世界選手権が開催されている。コロナ対策で帰国後の隔離期間に長く練習できないことを見すえ国内残留組の選手たちは、課題と向き合いながらホームゲレンデの富沢クロスカントリーコースで調整に臨んでいる。
メディア公開日のこの日のメニューは、スピード練習。500メートルの上り坂を8本上るというハードなインターバルトレーニングで、雪山に選手たちの息遣いがこだました。
合宿には、7回目のパラリンピック出場が内定している41歳の新田佳浩(LW8/日立ソリューションズ)も参加。右腕のしびれの不調が続いているためノーストックで滑り、後ろから後輩たちを追い込んでいた。また、後輩たちに積極的に声掛けをする場面も見られた。
これまで自分のため、周囲への恩返しのために戦ってきた新田にとって、北京大会は「チームメイトのための戦い」だという。選手それぞれに家族がいて、その応援があるからこそ自分たちは存在しているんだと身にしみて感じているからだ。
「(自分にとって)北京は集大成」という新田。今月下旬は低酸素トレーニング、2月は高地トレーニングを積んでいく予定だ。
その新田が特に気にかけているのが、同じ日立ソリューションズの後輩でもある21歳の川除大輝(LW5/7)。去年12月に行われたW杯(カナダ)では4位に食い込み、2回目のパラリンピック出場となる北京ではメダルが期待されている次世代のエースだ。
ストックを持たずに小回りを利かせて滑るのが川除のスタイル。この日の練習でも小柄な体をリズミカルに動かしながら、メニューをこなしていた。
練習後の囲み会見では、「(新田と川除について)ライバルだと報じられることが多いけど、僕は僕。新田さんを超えられるような存在になりたい」と力強く意気込んだ。
パラリンピックのクロスカントリーは、障害の程度の異なる選手が同時に競技を行うため、係数でハンデが課される。例えば新田は実質タイムの96%、川除は90%が記録になるという計算だ。
北京パラリンピックは3月4日に開幕し、13日までの10日間の日程にわたって行われる。
(写真・取材協力/今野征大 校正/佐々木延江)