「パラリンピックを伝えるファンのメディアを!」と、2000年シドニーパラリンピックの後、2002年のソルトレーク大会を前にNPO法人国際障害者スポーツ写真連絡協議会(パラフォト)で、写真配信のウエブサイトを立ち上げた。
当時まだ知る人のすくなかった障害者の競技のすごさをどう伝えるか。競技と選手の魅力は、尽きることのない泉のように湧き出てくるので、私たちはとにかくそこへ行くことにした。
思えば、1998年・多くの感動をくれた長野冬季パラリンピック後、活躍した選手たちが、大会が終わったと同時にメディアから忘れ去られ、自国開催のために出ていた強化費も終わってしまった。高められた選手のプライドは4年後への挑戦に満ちていたというのに・・。そんな場面に偶然立ちあい、子供の頃から感じていたテレビや新聞など大手メディアへの疑問が復活した。ファンのメディアなら、圧倒的に難しい状況でやり抜こうとする選手たちに注目しないはずがない。2020年の東京では、同じことを繰り返したくない。
今、日本の障害者のスポーツは、リハビリの延長だけでなく、教育過程でもなく、多くの障害のある人がクラブや市民活動として、自由に、自発的に取り組むものになっている。でも、変わらないのは障害者と非障害者のスポーツが当たり前に別々に行なわれていること。この日本の体制の壁を壊し、ともにできることが、パラリンピック成功のかぎになると思う。
彼らはヒーロー。今は、当初よりもずっと多くの人々に注目されるようになった。選手それぞれの工夫や学び、用具の研究と開発の成果が実り、世界トップに肩をならべている。もはや、かわいそうな障害者を助けるとか、そんな昔に戻ることはないだろう。素晴らしいスポーツを見つけた喜びを、多くの人と分かち合いたい。
佐々木延江