東京パラリンピックでの悔しさを胸に。車いすラグビー・乗松隆由、パリに向けてリスタート。

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東京パラリンピック閉幕から2ヶ月半。車いすラグビーも、日本選手権に向けた予選リーグが10月から11月にかけて行われたり、今日から「ジャパンパラ車いすラグビー競技大会」がはじまるなど、再始動している。

金メダルを獲得できなかった悔しさを胸に、リスタートする日本代表選手たち。代表の活躍に刺激を受けて、飛躍を誓う若手選手たち。その姿はさまざまである。

乗松隆由(1.5/AXE)。日本代表候補の1人として、注目されてきた 提供・JWRF

そのうちの1人が、乗松隆由(1.5/AXE)。リオ・東京で銅メダル獲得に貢献した乗松聖矢(1.5/FUKUOKA Dandelion)の兄で、2019年に銅メダルを獲得した「車いすラグビーワールドチャレンジ2019」ではともに代表メンバーとして戦った。

しかし、東京パラリンピックはリザーブメンバーとなり、夢の舞台に立つことが叶わなかった。

「東京パラリンピックに出るために、それまで働いてきた会社をやめてアスリート雇用になったし、人生をかけてチャレンジしていたので、正直、精神的にキツくて……。でも、一緒に頑張ってきた仲間がコートに立っていたので、”金を取ってほしい”、それだけの思いで試合を見てましたね」。

東京パラリンピック期間中はテレビ解説やSNSで車いすラグビーを盛り上げた 写真・久下真以子

さらに、銅メダルを獲得した仲間たちの姿は、多くの人に勇気を与えるものだったという。

「金を目指していたので、素直におめでとうって最初は言えなかったですね。でも、勝てると思っていた準決勝で敗れて、みんなメンタルがボロボロになっていた中で、しっかり切り替えて銅メダルを取れたのは大事なこと。そういう姿をみなさんに見せられたのは偉大なことだと思っています」

加圧トレーニングの感触は「イイ感じ」 提供・JWRF

来年は、デンマークで世界選手権が開かれる。日本が目指すのはもちろん、前回の世界選手権(2018年)に続いての金メダル。乗松にとっての目標は、そこでメンバーとして活躍することだ。

レベルアップするために取り組んでいることは2つ。

まずは、同じクラブチームの先輩である羽賀理之(2.0/AXE)から紹介されて始めた「加圧トレーニング」。低負荷で高強度のトレーニングが行えるため、他にも取り組んでいるチームメイトは多く、日本代表のエース・池崎大輔(TOKYO SUNS/3.0)も2020年3月からはじめている。

もう1つは、育成合宿でのパフォーマンス。育成合宿では最年長となる34歳の乗松は、「周りにどう動いてほしいか」を意識して若手に伝えるようにしているという。自分のプレーを伸ばすだけでなく、より周りを見られるようにする絶好の機会になる。

3年後のパリに向けて、さらなる成長を遂げる乗松に注目だ。

(写真提供=JWRF)

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