2021年11月6日、雲ひとつない晴天のもと第19回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権予選ラウンド(品川)がしながわ中央公園で開催された。今年の日本選手権は全国のブラインドサッカークラブ21クラブ(初出場7クラブ)が参加して行われ、10月31日の予選ラウンド(本庄)を皮切りに、2022年1年22日決勝ラウンド(八王子)まで熱戦が繰り広げられる。予選ラウンド(品川)には東京パラリンピックを経験した日本代表選手7名が参加し2022年1月8日に開催される準決勝ラウンド出場を目指した戦いが行われ、たまハッサーズが出場権を得た。
東京パラ後、初の国内試合に臨んだ日本代表
GLAUBEN FREUND TOKYO 1-1(PK 1-0) パペレシアル品川
第1試合はアクサ ブレイブカップ初出場ながら東京パラリンピック日本代表3人川村怜・寺西一・佐々木 ロベルト泉 (今回欠場)擁するパペレシアル品川と、同じく東京パラリンピック日本代表のGK神山昌士擁するGLAUBEN FREUND TOKYO との一戦。川村とGK神山の対決が注目された。前半17分、川村が自陣より力強いドリブルで持ち上がり、GLAUBEN FREUND TOKYO3人がかりのディフェンスをかわしゴールを決めて先制した。しかし前半20分、GK神山が相手ゴール前で待ち構えるGLAUBEN FREUND TOKYOの神谷考柄にパスを送る。神谷はディフェンダーが触ったこぼれ球に反応、振り向きざま放ったシュートが決まり1−1の同点に追いついた。
後半パペレシアル品川はシュートを6本放つも、GK神山が再三シュートを止めたり、GK神山の的確な指示に従い統率の取れたディフェンスをした
GLAUBEN FREUND TOKYO の好守に阻まれゴールを奪えず1−1のまま終了、勝負はPK戦に持ち越された。
PK戦は大会特別ルールで1本先取方式で行われた。まず先攻の神谷が鮮やかにゴールネットを揺らした。後攻のパペレシアル品川の井上流衣が放ったシュートはGK神山がゴールを阻みGLAUBEN FREUND TOKYOが勝ち上がった。
この試合ではGLAUBEN FREUND TOKYOの近藤正徳の動きが光っていた。チームディフェンスの前に位置し、フィジカルの強さを活かして相手チームの突進を止めていた。高校時代ラグビーをしていたフィジカルの強さを活かし東京パラリンピック出場メンバーの川村にも臆することなく立ち向かい、パペレシアル品川のシュートチャンスの芽を積んでいた。また井上はPKを決めることはできなかったが、パペレシアル品川のメンバーが井上に意識してボールを回す様子が見られチームとして育成する感が窺えた。井上はブラインドサッカー国際試合のB-1資格に認定されない障害度合いのため国内試合にしか出場できないが、今後の成長に期待していきたい。
たまハッサーズ 3-0 乃木坂ナイツ
第2試合は東京パラリンピック日本代表黒田智成・田中章仁・日向賢・GK佐藤大介4名を有するたまハッサーズと、乃木坂ナイツに名称変更してから初勝利を目指す乃木坂ナイツとの対戦となった。試合時間の大半がたまハッサーズの攻撃で占められた。まずは前半9分左コーナーキックから味方が蹴ったボールがゴール正面にいた日向賢のところに正確に届き、落としたボールを日向が左足で思い切り蹴り込んで先制ゴールを奪った。
後半14分、右サイド田中から左サイドたまハッサーズ中尾拓実へ展開、中尾が黒田に落とし、黒田はドリブルで中央突破、縦一列となった乃木坂ナイツ3人のディフェンスをすり抜けてゴールを決めた。
後半17分には田中が一旦ゴールキーパーに止められ跳ね返ったボールをキープ、執拗に追いすがるディフェンスを振り切ってシュートを決めた。田中は体を張って相手からボールを奪い前線にパスを送り、攻撃の起点となっている様子も数多く見られた。
試合は3−0のままで終了し、たまハッサーズが勝ち上がった。
パペレシアル品川 1-0 乃木坂ナイツ
第3試合は第1試合の敗者パペレシアル品川と第2試合の敗者乃木坂ナイツとの戦いとなった。
川村は攻撃から守備までコート全体をカバーし味方にパスを送るサポート的な役割を担っていたが、一転、前半13分自陣左サイドで川村が相手ディフェンスからボールを奪うとスピードにのったドリブルでゴールまで一気に走り抜けシュートを決めた。試合は圧倒的にパペレシアル品川が支配し、川村とともに寺西もシュートを何本も打ったが、前半にあげた川村のゴール1点にとどまる試合となった。
たまハッサーズ 1-0 GLAUBEN FREUND TOKYO
第4試合は第1試合の勝者たまハッサーズと第2試合の勝者GLAUBEN FREUND TOKYOとの準決勝ラウンド(平塚)出場をかけた試合となった。
前半たまハッサーズを無得点におさえ0−0で後半に入ったGLAUBEN FREUND TOKYOは、後半途中から引き分けPK戦狙いか、フィールドプレイヤー4人が自陣に下がりダイヤモンド型ディフェンスで守りを固めた。中でも黒田・田中とGLAUBEN FREUND TOKYOの近藤・田村修也・田村竹晃が激しくぶつかり合うシーンが繰り返し見られた。
たまハッサーズは黒田・田中・日向、日本代表選手のコンビネーションでディフェンスを崩そうと、前後半合わせて10本を超えるシュートを放ったもののゴールにつながらなかったが、後半18分、センターライン付近右サイドの壁際で田中が体を張って奪ったボールを黒田が相手ディフェンスをかわしてゴール前までドリブルで運び、最後はディフェンス3人に囲まれながらも自身でディフェンスを押えターンしてシュートを打ちゴールネットを揺らした、さすがの神山もこのシュートには反応出来ず得点を許した。
予選ラウンド(品川)試合結果
第1位 たまハッサーズ 準決勝ラウンド(平塚)進出
第2位 GLAUBEN FREUND TOKYO
第3位 パペレシアル品川
第4位 乃木坂ナイツ
→インタビュー:東京パラの経験を活かしパリパラへ