担当/義足のスプリンター
2014年から義足のアスリートのブレード開発やサポート、義足で走ることの機会創出などに関わる様になり、その過程で様々なプレイヤーと接してきました。自国開催に沸き障害者雇用や環境整備が進み、その恩恵を受けレベルの底上げの成果を見せてくれた日本のアスリートたち、それよりも早い速度で競技力をあげてしまった海外アスリートたち、ガバナンスがうまくいかずうまく運営されていないNPCを持つ国、コロナ禍の影響を直に受け海外の大会に参加できずにうまくランキングをあげられなかったアスリート、そもそも障害者がスポーツをすることの敷居がまだ圧倒的に高い国、まだまだたくさんあります。今回自国のパラリンピックにメディアという立場で記事を書かせていただき、世界に発信されるのは本当にパラスポーツの意義のほんの一部でしかないということを体感しました。万人に公平であるべきスポーツの祭典は、その理想型にはまだまだ長い道のりがありました。
だからこそ、今回のパラリンピックで過酷な環境でも素晴らしいパフォーマンスを見せてれた選手たちを心から尊敬しますし、ここにこれなかった世界中の全てのアスリートたちに感謝をしたいです。個人的には義足アスリートとして最高峰のパフォーマンスを見せてくれたジャリッド・ウォレス、キンバリー・アルケマデ、パラリンピック出場は叶いませんでしたがその道筋の過酷さを一緒に味わった佐藤圭太、池田樹生、春田純、アナンダン・グナセカランには感謝しきれません。
我々にとっては二度とないかもしれない自国開催でしたが、世界にとっては世界的パンデミックの中で踏み出した未来への新たな一歩です。またパリに向けて謙虚に精進していこうと思いました。
義足エンジニア・遠藤謙