東京パラリンピックの陸上競技、男子マラソン(車いすT52〜54)が5日、オリンピックスタジアムで行われ、マルセル・フグ(スイス)が1時間24分02で優勝。今大会でトラックレース3冠に続き、4つ目の金メダルを獲得した。日本の鈴木朋樹(トヨタ自動車)は7位だった。
9月頭とは思えない肌寒さで迎えた当日。気温19℃、小雨の降る中、路面が濡れた状態でのスタートとなった。東京パラリンピックのマラソンは都内各所を駆け抜ける42.195km。オリンピックスタジアムを皮切りに、東京駅、雷門、東京スカイツリー、東京タワー、皇居外苑を通って、スタジアムへ向かう。スタジアムに入るゴール手前には上り坂があり、体力や持久力が試される。
スタートから7km。先頭集団を引っ張るフグにアクシデントがあった。「左車輪のゴムが外れ出した。これ以上外れたらゴールできないと思ったので、トップスピードでなくても、まずはスタジアムに行かなくてはいけないと思った」とレースを振り返る。
その後は、中国の章勇との金メダルを懸けた一騎打ち。ゴール終盤、一気にラストスパートをかけたフグが1位でスタジアムに戻ってくると、そのまま大差を付け、フィニッシュ。車輪トラブルを抱えながら、並外れた持久力と精神力を発揮し、笑顔でレースを終えた。
日本勢の鈴木朋樹(トヨタ自動車)は7位。「スタートは強い気持ちで臨んだ。そうしなければお世話になった方々に対して後悔すると思った。レースは先頭に絡めず、自分との闘いになる時間が長かった。世界の壁を改めて感じたが、悔いはない」と話す。「パリまで3年しかない。ここからがスタート」と、前を向いた。