9月1日、東京アクアティクスセンターではパラリンピック競泳8日目のレースが開催され、男子100m平泳ぎSB11(全盲)で、日本のエース、木村敬一(東京ガス)が1分11秒78で銀メダルを獲得した。優勝はオランダの22歳、ロヒール・ドルスマン、3位は世界記録保持者で中国のベテラン、ヤン・ボーゼンだった。
競技を終えた木村は、「前半からいいスピードに乗れて泳げた。トータルタイムも久々の11秒台ということで、満足している。(この大会で)初めてのメダルがとれて、ほっとしました。一種目一種目に集中するため3種目に絞ってのぞんでいる。この種目(100m平泳ぎ)にも集中できた。最後のバタフライは持てる力を出し切って泳ぎたい」と記者たちに話した。
表彰式を終え、今大会5レースを泳ぎ2つの銅メダルを獲得した中国のベテラン、ヤン・ボーゼンは、地元中国メディアのインタビューに「東京ではストレスなく思いっきり泳ぐことができた。コロナ禍の5年の間に病気もして、厳しかったこともある」と答えていた。
また、日本のライバルについてどう思うか尋ねると、「(今日は)メダルをもらってお互い肩をたたきあって喜んだ。木村とは若い頃から何年も一緒に試合をやってきて、試合が終わればすごくいい友達だ!」と、リラックスした表情で話してくれた。東京でのレースを楽しんでいるようだ。
スタンドには観客の代わりに各国の選手団、競技関係者、メディアの記者たちがいる。アクアティクスセンターのプールからは連日複数の世界記録が更新され、途切れることがない。史上初の大会延期で5年となった練習期間を経て、世界中が、ためていた力を吐き出しているかのようだ。
(校正 望月芳子)