8月31日、東京パラリンピック5人制サッカーのグループリーグの全日程が終了。ブラジル、中国、アルゼンチン、モロッコが準決勝進出を決めた。
リーグの最終戦スペインとモロッコの対戦は雨が降り出すなかでの試合となった。開始早々から、準決勝進出のためには勝利が必要なスペインが激しくモロッコゴールに迫る。しかし得点にまでは至らず、前半18分、引き分けでも進出が決まるモロッコがPKのチャンスを得ると、過去2試合で3ゴールのズハイール・スニスラがゴール左隅に蹴りこみゴールネットを揺らした。2点が必要になったスペインは後半に入るとさらに激しさを増し選手同士が激突、痛さのあまり思わず出た声が無観客の雨空に響き渡る。
そして後半10分、タイ戦で第2PKを決めたアントニオ・マルティン・ガイタンが左サイドから執念のゴールを決める。その直後、セルヒオ・アラマール・ガルシアのシュートがポストを叩く。しかし、もう1点は遠く引き分けに終わり、モロッコが準決勝進出を決め、歓喜の雄叫びをあげた。モロッコは準決勝でブラジルとの対戦が決まった。
グループリーグで4得点のズハイール・スニスラは「準決勝に進むのは予想外だった。夢のような結果になった」という。スニスラは右足のけががあり、あまり準備ができなかったという。暑さのなかでの戦いを余儀なくされたグループに入っていたら、結果は違ったものになったのだろうか。
一方のスペインはグループBの3位となり、5位をかけて日本と対戦することとなった。
スペインのマルティネス監督は日本戦にむけて、「両チームはとても似たところが多いので面白い試合になるのではないか」と語った。日本代表の高田敏志監督も、「Santen ワールドグランプリ 2021」で対戦し1対1の引き分けに終わった試合終了後、「面白い駆け引き。スペインとやると毎回楽しい。フットボールの楽しさを経験できた」と語っている。代表の大会の最後を飾るのにふさわしい相手となった。願わくば、メダルをかけた戦いで観たかったカードではあった。
グループBのもう1試合アルゼンチンとタイの対戦は、マクシミリアーノ・エスピニージョの大会通算5得点目などでアルゼンチンが3対0でタイを下し、勝ち点9で首位通過、中国と準決勝を戦う。タイは7位決定戦でフランスとの対戦が決まった。
準決勝および順位決定戦は、中1日あけての9月2日、3位決定戦、決勝も1日空いての9月4日となっている。だがグループリーグは3日連続で行われた。2008年の北京パラリンピックも、その後のロンドンもリオも、グループリーグの試合はすべて中1日置いて開催されている。今大会、特に暑い時間帯に試合を行うグループAは、かなりハードな日程を強いられた。
またグループリーグは全12試合が行われ31ゴールが生まれ、スコアレスドローの試合は全くなかった。前回のリオ大会では17ゴール、スコアレスドローが3試合あった。得点が増えた理由の一つは明らかにゴールが大きくなったことによるだろう。以前はいわゆるフットサルのゴール縦 2m、横 3m だったが、縦 2.14m、横 3.66mのフィールドホッケーのゴールの大きさになり、横幅が66cm大きくなっている。リオ大会ではグループリーグ以降の6試合中3試合がスコアレスドローだった。
今大会は、あとどれくらいのゴールが生まれるだろうか。
グループB モロッコ vs スペイン
グループB アルゼンチン vs タイ
(校正 望月芳子 写真 中村”Manto”真人 秋冨哲生)