8月24日から開幕し、各地で熱戦が繰り広げられている東京2020パラリンピック(以下、東京大会)。27日には柔道が開幕。29日までの3日間、日本武道館を舞台に開催されている。
初戦は、女子48kg級・女子52kg級・男子60kg級・男子66kg級の4階級が行われた。
女子48kg級はシャハナ・ハジエワが初の金。女王マルティネを破る
女子48kg級は若干21歳のシャハナ・ハジエワ(B2:アゼルバイジャン)が金を獲得した。
リオパラ大会で金、アテネ・北京パラ大会でも銀のサンドリーヌ・マルティネ(B2:フランス)が金メダル大本命だった。
大きなプレッシャーのなかで臨んだ決勝でも、「相手が強いということを考える前に『私は勝てる』『私は一番だ』という気持ちで臨みました」と大舞台でも動じない強靭な精神力を発揮。ゴールデンスコアにもつれた試合を一本勝ちで締め、世界の頂点に立った。
一方、前回大会は52kg級で金を獲得したが、東京大会では48kg級で臨んだ”女王”マルティネ。終了直後は涙を見せたが、笑顔で語り「4つもメダルを持てることはなかなかないと思います。欲しかった色とは違いますが、手元にある色(銀メダル)に誇りを持っています」と語った。
ハジエワについてもコメントを求められると、「まだまだ若いしポテンシャルもあるので、レベルはどんどん上がっていくと思います」と期待を込めた。
なお、銅メダルはビクトリア・ポタポワ(B1:RPC)とユリア・イワニツカ(B2:ウクライナ)の2選手が獲得。
イワニツカはロンドン・リオパラに続いて3度目の銅メダルとなり、
「2回も銅をとって”今回こそ金”というつもりで来た。嬉しいけれど悔しい気持ち」と複雑な思いを隠さなかった。
女子52kg級は藤原を抑えたアブデラウィが金
女子52kg級はシェリネ・アブデラウィ(B3:アルジェリア)が金を獲得。準決勝で藤原由衣(B3:モルガン・スタンレー・グループ)、決勝ではプリシラ・ガニェ(B1:カナダ)を共に一本勝ちで破った。
前回大会で銀のラモナ・ブルシヒ(B2:ドイツ)は、サンドリーヌ・マルティネが48kg級に移ったため金を期待されたがプリシラ・ガニェに敗れ、さらに3位決定戦ではナタリア・ニコライチク(B1:ウクライナ)との1戦も落としまさかのメダルなしの結果になった。
銅にはアレシア・ステパニュク(B3:RPC)、ナタリア・ニコライチクと、48kg級同様にRPCとウクライナ勢が入賞した。
男子60kg級もアゼルバイジャン勢が金メダル
男子60kg級でもアゼルバイジャンの活躍が光った。
準決勝で前回銅のアレックス・ボロガ(B1:ルーマニア)をゴールデンスコアの末破ったブガル・シリンリ(B3:アゼルバイジャン)が勢いそのままに頂点へと昇った。
初めてのメダルが金となったシリンリは「相手は全員強く難しい試合だった」と語りながらも、「今回のメダルは私の人生で最も大きな夢でしたので、結果が出せたというのは今後においてすごく意義あることだと思います」と振り返った。
銀メダルを獲得したアヌアル・サリエフ(B3:カザフスタン)も初のメダル。
しかし、「金メダルのために準備をしてきたので悲しい。感想を言うのも難しい。最後の一瞬、安心してしまった自分がいて緊張が離れた時に投げられてしまったのかな」と悔しさを滲ませた。
銅はレジェプ・チフトジ(B2:トルコ)とアレックス・ボロガ。ボロガは前回に続き2大会連続銅。
競技後に準決勝でゴールデンスコアの末シリンリに敗れた時を振り返り、「ショックが大きかったが、自分自身でもモチベーションを再度上げ、監督が私を応援してくれたので何とか次のメダルに向けて頑張ることができた」と述べ、「パリに対してのモチベーションはありますし、もっといい色のメダルをとりたい」と早くも次回への意気込みも語った。
男子66kg級で、この日唯一日本勢からもメダル
男子66kg級ではウチクン・クランバエフ(B3:ウズベキスタン)が金。セルヒオ・イバネスバニョン(B3:スペイン)と続き、瀬戸勇次郎(B3:日本・福岡教育大)が日本勢でこの日唯一のメダルである銅メダルを獲得した。
また、もう1組の銅メダルはナミグ・アバスリ(B2:アゼルバイジャン)と、本日4階級中、3階級でアゼルバイジャンの選手が入賞した。
瀬戸は終了後の囲み取材で、「3位決定戦はメダルが取れる取れないでは大きな差だと言われていた。緊張してた中での試合でいい結果になってほっとした」とメダルを獲得できたことについて安堵の表情を見せた。
今日は女子57kg級 ・ 女子63kg級 ・ 男子73kg級 ・ 男子81kg級の4階級が行われる。引き続き、戦いに注目である。
編集・校正 佐々木延江、望月芳子
ロシア語 フランス語 英語 中国語 韓国語通訳:赤須由佳