東京パラリンピック5人制サッカー(ブラインドサッカー)は29日に開幕。会場は青海アーバンスポーツパーク。オリンピックでは、3×3バスケットボール、スポーツクライミングが開催され、その後、サッカー仕様に作り替えられた。
開幕前日の28日には、同会場で各チームの公式練習が行われた。日本チームはシュート練習や守備連係等を確認。一度、控室に戻った後は、本番さながらに国歌斉唱も行った。事前合宿でも、本番に向けた同様のシミュレーションを行ってきたという。
日本代表の高田敏志監督は2015年の就任以来「勝つためには普通のことをやっていても絶対だめだ。やれることはすべてやる」と、技術、戦術、身体、メンタル、声、食事、IT等、多くの英知を集めて、論理と感情の部分とを分けてとことん整理。選手たちのパフォーマンスは飛躍的な向上を見せ、チームは「あきらめの悪い集団」「あきらめない集団」と化した。
その集大成となる大会の初戦、いや未来へ向けてのスタートなる一戦には、キャプテンの川村怜、40代にして進化を続ける黒田智成、田中章仁、佐々木ロベルト泉、頼もしきゴールキーパー佐藤大介の5名が、障害者サッカーの日本代表選手として初めてサムライブルーと同じユニフォームを身に纏い、キックオフのピッチに立つだろう。
対戦相手は次回開催国フランス(世界ランキング14位)、準決勝進出のためには勝ち点3が是非ともほしい試合。だがそれはフランスとて同じだ。両国は「Santen ワールドグランプリ 2021」で5月30日にも対戦、日本は開始早々、田中章仁からのパスを受けた川村怜がゴールを決め、1-0で勝利をものにしているが、試合後、フランスのトゥサン・アクエボ監督は「今日はパラリンピックへ向けた一つのテスト。パラでは、今日とは全く違うものを見ていただける」と語る。フランスの得点源はカウンターからの破壊的な攻撃を見せるフレデリック・ヴィルル。しかし日本は彼を模した晴眼者コーチが容赦ない相手役を演じ、対策は抜かりがないという。
キックオフは29日日曜午前9時、目の離せない試合となる。
5人制サッカーは8か国が2つのグループに分けられ、総当たりのリーグ戦を行い、それぞれ上位2チームが準決勝に進出する。下位チームは、5位決定戦、7位決定戦に回る。パラリンピック初出場の日本(12位)は、まずはグループリーグ突破、準決勝進出を目指すことになる。
初日の第2試合は日本と同じくグループAの世界王者ブラジル(2位)とアジア王者中国(5位)の対戦。ブラジルは過去のパラリンピックですべて優勝、金メダルを独占してきた。1年以上表舞台に登場してこなかった中国がどんな戦いを見せるのか、注目の一戦だ。中国は前日練習では、ブラジルのリカルジーニョ、ジェフィーニョを意識した守備練習を繰り返していた。おそらくどのチームがブラジルと相対するときもそうなるだろう。それほど2人はスーパーな存在だ。リカルジーニョは相変わらず、繊細なボールタッチからの正確無比なシュートを放っていた。中国は、当初パラリンピック選手団の名簿にあった超絶技巧のドリブラー、ウェイ・ジィェンセン(魏建森 WEI Jiansen)がチームリストには掲載されておらず前日練習にも参加していない。その結果、中国のフィールドプレーヤーの登録は6名となっている。
日本は第2戦でそのブラジル、第3戦で中国と対戦する。
16時30分からはグループBアルゼンチンとモロッコ(10位)の対戦。現在アルゼンチンは世界ランキング1位だが、パラリンピックではブラジルには勝ちきれずに後塵を拝している。金メダルへ向けて順風なスタートを切ることができるか。
第4試合は、スペイン(3位)とタイ(13位)の対戦。「Santen ワールドグランプリ 2021」5月30日の対戦では、タイが3-2とスペインを撃破している。選手層の厚さをベースに金メダルを狙うスペインは同じ轍を踏むわけにはいかないだろう。
グループリーグは、29~31日の3日間、準決勝および順位決定戦は9月2日、3位決定戦と決勝は4日に行われる。
大会は無観客となり、5人制サッカーは学校観戦の対象外だ。TV中継される日本戦や決勝以外は(一部の試合はNHKでネット配信があるようだ)ほぼ誰も目にすることができない。本サイトでは全試合をお伝えしていく。5人制サッカーのコーナーでは、各国、各選手の紹介、対戦欄にプレビューや試合の詳報、勝敗表を書き込んでいく予定だ。
東京2020パラリンピック競技大会全日程 / 結果
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(校正 望月芳子)