東京パラリンピックの車いすラグビーは8月27日、予選リーグ最後の試合が行われた。
2連勝中の日本は、世界ランク1位のオーストラリアと対戦し、57ー53で勝利。予選1位通過を決め、明日の準決勝は世界ランク4位のイギリスとの対戦となった。
日本の強さの1つに、出場選手のラインナップの選択肢が増えたことがあげられる。
車いすラグビーは、障害の重さによって0.5(一番障害が重い)から3.5(一番障害が軽い)まで7段階の持ち点が選手に与えられており、コート上の4人の持ち点が8点以内になるようにしなければいけない。ただし、女性が1人入ると8.5点以内で組むことができるのだ。
そこで重宝されるのが、女性として初めてパラリンピック車いすラグビー日本代表に選出された倉橋香衣(0.5/AXE)。
2018年の世界選手権で金メダルを獲得した時のメンバーで、その後肩の痛みの影響で日本代表を長期離脱。治療やリハビリに専念してきた。今回、東京パラリンピックのメンバーとして代表にカムバックし、予選3試合全てで出場している。
日本はこれまで、「3-3-1-1」や「3-3-1.5-0.5」などのハイローライン(ハイポインターとローポインターの組み合わせ)が軸だったが、0.5の倉橋が入ると「3-3-2-0.5」のラインが可能。より攻撃的な布陣で臨むことができるのだ。
障害の重さの影響で使える筋肉の少ない倉橋は、代表離脱中に車いすの漕ぎ方を一から見直した。肩甲骨をしっかり使って、前傾姿勢にならないように意識。復帰後のスピードは、以前より速くなった。
さらに、ケビン・オアーHCや、クラブチームの先輩で長年日本代表として活躍してきた岸光太郎(0.5/AXE)などを中心に、相手ハイポインターへの守備に関してアドバイスを仰いだ。真っ向から向かうのではなく、進路を切るよう意識することで、より精度が高まったという。
日本では女性プレーヤーは3人しかいないが、海外では女性選手による大会も行われている。「唯一の女性ということで注目してもらっているけど、男女混合の競技。女性がいて当たり前という風になってほしい。女性の車いすラグビープレイヤーがもっと増えたらいいな」とトレードマークの笑顔で話した。
あと1勝で銀メダル以上が確定する日本。”紅一点”の活躍に期待したい。
(校正 望月芳子)