8月24日から開幕する東京2020パラリンピック(以下、東京大会)。27日から3日間、日本武道館で柔道が行われる。今回はその見どころを紹介する。
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クラスではなく体重別で分けられるのが特徴
パラリンピックの柔道は、視覚障害のみが対象の競技。
他の競技とは異なり、障害の程度に応じたクラス分けはなく、オリンピックと同じく、男女別・体重別の階級制で行われる。
視覚障害のクラスは本来B1(全盲)〜B3(弱視)の3つに分けられるが、パラ柔道ではアイマスクなど使わず、区分問わず見え方が異なる選手同士でも対戦する。
ルールでオリンピックと大きく違うのは、試合の始め方だ。選手双方が相手の襟と袖をつかんであらかじめ組み合い、主審の「はじめ」の声で試合開始となる。
したがって、最初から技の掛け合いとなり、試合時間をフルに使った激しい技の応酬が見もの。選手にはスタミナと集中力が必須だ。
また、両手が離れた場合は再び組み直すルールのため、残りわずかな時間での大逆転もありえる。
東京大会では以下の日程で開催。いずれも予選から決勝まで1日完結で行われる。
8/27(金)
・女子48kg級 / 女子52kg級 / 男子60kg級 / 男子66kg級
8/28(土)
・女子57kg級 / 女子63kg級 / 男子73kg級 / 男子81kg級
8/29(日)
・女子70kg級 / 女子70kg超級 / 男子90kg級 / 男子100kg級 / 男子100kg超級
過去メダルを獲得した3選手に注目
今大会、パラフォトでは日本人選手のライバルとなる外国人選手に注目。これまでの大会でメダルを獲得した選手の中から3選手をピックアップした。
サンドリーヌ・マルティネ(FRA)
女子48kg級でアテネ・北京パラ銀、リオパラでは金と三度のメダルを獲得した世界を代表する柔道家。今大会ではパラリンピック連覇を狙う。
二児の母で、理学療法士としての顔を持つなど文武両道の選手である。
ルシア・アラウジョ(BRA)
女子57kg級でロンドン・リオと二大会連続銀メダル。日本勢でメダル候補の廣瀬純子(SMBC日興証券)とはリオ大会の準決勝で対戦し、破った相手である。今大会でも上位で対戦することが予想される。
チェ・グァングン(KOR)
男子100kg超級で二大会連続金メダルの”王者”。リオ大会では全て一本勝ちで頂点に上り詰めた。大会三連覇を目指し、圧倒的な力を世界に見せつける。
東京大会に向けて
パラ柔道においては暗い話題が続いている。韓国では昨年12月に視覚障がい偽装で起訴された。
また、東京大会開幕を目前に控え、大会二連覇を目指し来日したリオ大会男子90kg級金メダリストのズビアド・ゴゴチュリ(GEO)が、都内ホテルで警備員に暴行し逮捕される事件も起きた。
そんななか開幕するパラ柔道。競技発祥の地であるこの日本で、それぞれが正々堂々と戦い、創始者である嘉納治五郎氏の唱える規範「精力善用」「自他共栄」(※)を改めて世界に示してほしいと願う。
(※)
「精力善用」:自分の持つ力を、社会のために善い方向に用いるという精神
「自他共栄」:相手に対し敬い、感謝することで、信頼し合い、助け合う心を育み、自分だけでなく他人と共に栄える世の中にしようとする精神
参考サイト
TOKYO2020パラリンピック 柔道 競技紹介
https://olympics.com/tokyo-2020/ja/paralympics/sports/judo/
(編集・校正 佐々木延江、望月芳子)