8月24日に開幕する東京パラリンピックを前に、聖火リレーの集火式が18日、千葉県の「市原スポレクパーク」(市原市)で開催された。
千葉県内の54市町村で採火した「市町村の火」を「千葉県の火」として一つにまとめるイベントで、関係者のみの無観客となった。
その後、本来は公道での聖火リレーを行う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止。その代わりに、同じ18日に千葉市内の特設会場で「点火セレモニー」を実施し、東京に千葉県の火を送り出す「出立式」も行われた。
集火式は、長く続いた雨がようやく明けた、18日の昼前に行われた。しかしこの日は風が強く、午前11時時点での風速は8メートル。風の様子を伺いながらの進行となった。
東京パラリンピック聖火リレーのコンセプトは「Share Your Light/あなたは、きっと、誰かの光だ」で、県内の市町村の火にもそれぞれの思いが込められた。
柏市では、2年連続で地域の花火大会が中止。思いを受け継いだ花火が、車いすテニスのイギリス選手団の事前合宿地にもなった「吉田記念テニス研修センター」で行われ、その火が種火として使用された。
成田市では、年間1000万人を超える参詣者が訪れる全国有数の寺「成田山新勝寺」の燈明の火が用いられた。
出席した熊谷俊人知事は、「パラリンピックが目指してきた、多様性を象徴とするそれぞれの思いが込められている。本来コロナがなければやりたかったことがみんなにあると思うが、制限の中でいかに最善を尽くすかが私たちに問われている。パラリンピックの父・グットマン博士の”失われたものを数えるな、残されたものを最大限に生かせ”という精神にのっとって、自国開催のパラリンピックでの選手たちの姿を通して、共生社会が生まれる大きな1年にしていきたい。千葉県の共生社会を作るためにも、仲間として皆さんの力を貸してほしい」と語りかけた。
集火式に浦安市代表として参加したのは、橘龍平さん(浦安市立高洲中2年)。車いすテニスに7歳から打ち込んでおり、18歳以下の日本ジュニアランキング1位。国内大会で数々の優勝の実績も残し、2024年のパリや2028年のロサンゼルス出場を夢見る将来有望なプレイヤーだ。
尊敬する選手はもちろん、東京パラリンピック日本選手団主将を務める、車いすテニスの国枝慎吾。国枝とは何度も話したことがあり、「すごくかっこいいし、金メダルを取ってもらいたい」という。
集火式を終えた橘さんは、「火を持つのは重かったし、火おこしにも参加したけどなかなか火がつかなくて大変だった。いよいよパラリンピックが近づいている実感がわいてきた。日本の選手たちの活躍が楽しみだし、自分も将来そうなれるように頑張りたい」と目を輝かせた。
開会式まであと4日。千葉と同じように全国から集められた火と、パラリンピック発祥の地であるストークマンデビル(イギリス)から届けられた火が集まって、希望の未来を照らす聖火が誕生する。