今月24日に開会式を迎える東京2020パラリンピックにむけて、神奈川県と33の市区町村で生み出された火が、一つに集まり、「ともに生きる社会かながわの火」として、東京をめざし赤レンガ倉庫(横浜市中区)を出発した。
会場には「ソーラークッカーの火(厚木市、茅ヶ崎市、逗子市、伊勢原市)」「太陽の火(座間市、愛川町)」「ガス灯の火(横浜市)」「灯篭の火(平塚市)」「平和の火(藤沢市)」など県内各所でユニークな採火式が展開され集められた33のランタン。
33のランタンを取り囲むように集められたキャンドル。神奈川大学、岩崎学園などの学生たちによる応援メッセージの入ったキャンドルカバーとともに寄せられ、灯された。
ゲストとして会場を訪れた前回リオパラリンピック車いすラグビー銅メダリスト・山口貴久は、川崎市中原区在住。ハーフマラソン、車いすツインバスケットボールなどを経て、リオパラリンピック車いすラグビー日本代表に選出され、日本初の銅メダルを獲得した。頸椎損傷という重度の障害のためローポインターとしてチームの要を担ってきた。
代表選考が厳しさを増すなか東京パラの代表を逃したが、トークショーで「車いすラグビーの仲間を応援してほしい。今の日本代表は金メダルを目指す力がある」と記者たちに呼びかけた。
二條実穂はリオパラリンピック車いすテニス4位入賞のパラリンピアン。北海道旭川市出身、横浜市在住。元大工という逞しいキャリアを持つアスリートで、行く先々でパラスポーツの地域振興に積極的に取り組む。エレガントな雰囲気とキリリとした強さに包まれながら、東京への火を受け継いだ。
依然続くコロナ禍と全国的豪雨の影響で、会場の赤レンガでは非公開となった集火・出立式は、メディアが呼ばれ、神奈川県ゆかりの日本代表の顔ぶれを紹介する動画や応援する学生たちのメッセージ動画をさしはさんでオンライン配信された。
黒岩祐治県知事を始め、かながわSDGsスマイル大使でジストニアという難病を患い7本指で再起を果たしたピアニストの西川悟平さんらが見守るなか、33箇所でユニークな採火式で集められた火が灯るランタンと無数のキャンドルを囲み、9日後に東京で開幕するパラリンピックへの想いを馳せた。
かながわ県の火は、20日都内でパラリンピック発祥の地・ストークマンデビルの火と結合。聖火となり、24日の開会式まで都内をリレーする。神奈川県からは、横浜市立横浜総合高校3年・パラスイマーの小石昌矢さんが8月22日に東京都内で聖火ランナーを務める予定となっている。
<参考>
パラスイマー・小石昌矢さん(聖火ランナーのプロフィール動画)
https://www.youtube.com/watch?v=xm3P4bHJONk
(取材協力・写真 内田和稔)