関連カテゴリ: Tokyo 2020, コラム, チームジャパン, 取材者の視点, 地域, 夏季競技, 車いすラグビー — 公開: 2021年7月22日 at 2:17 AM — 更新: 2021年8月16日 at 1:37 PM

車いすラグビー日本代表、金メダルへのカギは”初戦のフランス”~池透暢・池崎大輔オンライン会見

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 7月12日、車いすラグビー日本代表として東京パラリンピックへの出場が決まっている、キャプテンの池透暢(3.0/Freedom)とエースの池崎大輔(3.0/TOKYO SUNS)がオンライン会見に出席し、1ヶ月後に迫った本番への意気込みを語った。

 日本はリオデジャネイロオリンピックで初の銅メダルを獲得し、2018年の世界選手権では、パラリンピック2大会連続金メダルで世界ランク1位の強豪・オーストラリアを破って初優勝。東京パラリンピックでは悲願の金メダルが期待されている。キャプテンとエースは、金メダルへの道のりをどう見つめているのか。

6月21日の日本代表推薦選手発表記者会見でのキャプテン池透暢(3.0/Freedom) 写真・秋冨哲生

予選のカギは初戦のフランス

 車いすラグビーの予選は3試合行われ、世界ランク3位の日本は、第1戦でフランス(同6位)、第2戦でデンマーク(同7位)、第3戦でオーストラリアと対戦。上位2チームが決勝トーナメントに進出する。
 オーストラリアとの激突が注目を集める中、池・池崎がともにカギとしてあげたのは、初戦のフランス戦だった。

記者会見でのエース・池崎大輔(3.0/TOKYO SUNS) 写真・秋冨哲生

 池は「もちろんオーストラリアに勝って1位通過で抜けるというのは、予選での最大目標。でもフランスはこのところかなり力をつけていて、最近ではイギリス(世界ランク4位)に勝つゲームもあった」と話すと、池崎は「フランスは相性が悪い。初戦でしっかり結果を出していいスタートを切れれば、次のデンマーク戦もオーストラリア戦もいい試合が出来ると思う」と分析した。

 2024年のパリパラリンピックでホスト国となり、強化が進んでいるフランス。日本と同じく「ハイローライン(ハイポインターとローポインターの組み合わせ)」が軸になっており、いかに日本の豊富なディフェンスで相手のプレーをさせず、自分たちのペースに持っていけるかが、勝負の分かれ目になりそうだ。

鍛えぬいた自らの肉体は…?

3月のジャパンパラ競技大会での池 写真・内田和稔

 ことし3月に行われた「2021ジャパンパラ車いすラグビー競技大会」で池は、「新調した車いすと現状の車いすの2台、どちらを東京パラリンピック本番で使うか悩んでいる」と話していた。

 たどり着いた答えは、現状の競技用車いす(ラグ車)だった。新車は重量が増し、タックルを受けても倒れにくいというメリットがあった。しかし形状的に、「相手ローポインターにバンパーを引っ掛けられたときに、交わすまでの時間がかかる」という課題があったのだ。

 本番を控え体はほとんど仕上がっているが、あと1ヶ月で池が取り組むのは「自らの体重の増加」。車いすで足りない重量を自分の体で補い、フィジカルで海外に負けないよう最後の最後まで追求を続ける。

スピードに加え、パスにも磨きをかけた池崎 写真・内田和稔

 一方、池崎は2020年3月から加圧トレーニングを始めた。低負荷で高強度のトレーニングが行えるため、他にも取り組んでいるチームメイトは多い。「車いすバスケ時代からずっとアスリートとしてトレーニングを行ってきているけど、大きな変化をしてみたかった」。その証拠に、パスのレンジと鋭さが増したという。持ち前のスピードに加え、パスを磨いたエース。まだまだ進化が止まらない。

日本代表の世代交代

 今大会、日本代表の初選出は5人。メンバー12人のうち、およそ半分近くが新しいメンバーとなり、世代交代を反映するものであった。
長らく日本代表を支えてきた49歳の岸光太郎(0.5/AXE)は、リザーブメンバーとなった。

 初選出のうち1.0には、今井友明(1.0/TOKYO SUNS)、若山英史(1.0/Okinawa Hurricanes)といった経験のある30代の選手に加え、新たに小川仁士(1.0/BLITZ)が代表入りした。小川はこの1年で急成長を遂げた27歳で、池崎いわく「今井と若山のいいところを両方持っている」。大きな体と走力、パスのレンジを武器に、新旋風を巻き起こしてほしい。

小川仁士(1.0/BLITZ)。この1年で急成長を遂げ代表入りした27歳 写真・秋冨哲生

東京大会への思い

 1年延期となった東京パラリンピックが、いよいよ目前。国民の不安や期待、その様々な声に馳せながらも、改めて意気込みを聞いた。

 池「ずっと金メダルって言ってきたし、自分の中では喉から手が出るほど欲しいけど、色にこだわりすぎていろんなものを見失うのは嫌。自分たちの取り組んできた最高のパフォーマンスが出たときに、金メダルになる。リオの銅も嬉しかったけど、この5年間がどう金に変えられる努力だったのかを試しに行きたい。みなさんの考え方や心の居場所はいろんなところにあると思うけど、”良かったね”って言ってもらえるような大会にしたい」

 池崎「正直複雑な思いではあるけど、開催できることに幸せを感じて、スポーツの力で希望やその先の未来を作っていきたい。そのためには世界一になるしかないし、車いすラグビーにはできると思っている。こんな状況でも応援してくれる人々に恩返ししたいし、一番輝くメダルで照らしていきたい。それが自分たちの使命だと思っている」

(取材・記事/久下真以子、写真協力/内田和稔、秋冨哲生、校正/佐々木延江)

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