パラアイスホッケーの「国内クラブチーム選手権大会」が12月5日、やまびこスケートの森(長野県岡谷市)で開幕した。試合は2日間の日程で開催され、6日の朝に決勝戦が行われる。
今大会には、去年の成績を元にしたランキング上位4チームが出場。トーナメント形式で試合が行われた。
予選第1試合では長野サンダーバーズ(1位)が東海アイスアークス(4位)を12-0で下し、第2試合では東京アイスバーンズ(2位)がロスパーダ関西(3位)に先制されたものの、3-1で逆転勝利。この結果、長野サンダーバーズと東京アイスバーンズの決勝進出が決まった。
新世代が大活躍!
この日の最後に行われた3位決定戦では、次世代の若手が大活躍した。ロスパーダ関西が東海アイスアークスに11-0で勝利。このうち8ゴールが、15歳の伊藤樹(ロスパーダ関西)によるものだった。
伊藤は幼稚園から健常のアイスホッケーを始め、事故で脊髄損傷になったことから5年前にパラに転向。所属チームの中心選手としてプレーを引っ張るほか、強化指定選手にも選ばれ、日本代表の柱となることを期待されている存在だ。
伊藤の憧れは、アメリカ代表のデクラン・ファーマー。ファーマーは16歳で初めてソチパラリンピック(2014年)に出場しチームを金メダルに導いた。平昌パラリンピックの決勝でも同点・決勝の2ゴールを決めているドリブラーだ。伊藤も北京パラリンピックの日本代表に選ばれれば16歳での初出場となる。「彼のように活躍したいし、僕もたくさん点を決めたい」と胸を躍らせている。
日本のパラアイスホッケーは40代や50代などの高い年齢層が多くを占め、「次世代の育成」は長年課題として挙げられてきた。これに対し伊藤は、「氷上では年齢なんて関係ない。僕は世界一の選手になる。誰も寄せ付けない存在になりたい」と、まっすぐに前を見つめていた。
このほかにも、日本スポーツ協会によるアスリート発掘事業「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト」(J-STARプロジェクト)により誕生した選手たちも今大会には多く参加している。日本代表の小山幸子チームマネージャーは、「次世代の選手は伸びしろがあるので、どんどんうまくなって来ていると感じている。競技人口を増やすことはずっと課題だったが、競争の原理がようやく働いてきている。来年のクラブチーム選手権はもっと面白いことになると思う」とコメントした。
<参考>
試合結果、ライブ配信の案内など/日本パラアイスホッケー協会
http://sledgejapan.org/
(校正 佐々木延江 写真 秋冨哲生)