車いすバスケットボール男子日本代表の京谷和幸ヘッドコーチと豊島英キャプテンが8日、記者会見に出席し、コロナ禍での合宿開催や東京大会に向けての思いを語った。
今年7月から合宿を再開した車いすバスケットボール男子日本代表。現在感染予防策として、手指やタイヤの消毒、検温などの対策を講じながら、9月からは試合の感覚を取り戻すことを目的に、選手同士の接触が伴うゲーム形式のトレーニングも取り入れているという。
「選手は事前にPCR検査を受けてから合宿に臨みます。自分やチームメートを守るという意味で、信頼し合って合宿ができている状態」と豊島。「以前のような強度や環境でプレーができるようになってきた。いい準備になっていると思う」と手応えを語った。
テーマは「土台づくり」と「共通理解」
体力の回復を目的としたこれまでの合宿からフェーズを上げ、10月5日から行われている今合宿では、より実践的な内容に変化した。大きなテーマは「土台づくり」と「戦略の共通理解」。細かな車いすさばきのアジリティーや基礎的なスキルを継続的に強化する一方、日本代表が強みとする「トランジションバスケ」の戦略の理解をより深める合宿だと、京谷ヘッドコーチは語る。「自陣での想像力や発想力など選手の積極性を引き出すこと、また判断スピードを上げるために、とにかく選手に考えさせる合宿にしたい」と狙いを明かした。
日本代表に必要な「勝ち切る力」
男子日本代表のパラリンピック最高順位は、ソウルパラリンピックと北京パラリンピックの7位。昨年東京で行われた「三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2019」では3位、タイの「2019アジアオセアニアチャンピオンシップス」では4位と着実に力を付けながら、東京大会でのメダル獲得に向けて、あと一歩の「勝ち切る力」を必要とするのも事実だ。
今年2月に新体制となって就任した京谷ヘッドコーチは「基本的な戦略の部分は変えるつもりないと思っている。ただ、なかなか勝ちきれないという部分に関しては、ゲームの終盤でミスがあったり、集中力が切れたりという弱さが見える。今までの1.5倍の運動量を求めていくと共に、規律やルール、協調性といった技術とは少し違うけれども、日々のトレーニングで意識の変化を働きかけて、改善したいと取り組み始めている」と強化のポイントを語った。
チームを率いる豊島も「勝ち切るために何をするのか。自分のプレーなのか、ゲームコントロールなのか、周りを活かすのか。最後の最後、勝ちに繋げられるようなプレーをすることが僕の課題です。今できること、来年に繋がるようなトレーニングをしっかりすることが自分たちに与えられたもの。言い訳できることはひとつもないです」と来年への覚悟を滲ませる。1年延期となった今だからこそ、日本代表の底力が試されている。
(校正 佐々木延江)