バルセロナ(1992年)からロンドン(2012年)までパラリンピック6大会連続出場、金メダル5個を含む21個のメダルを受賞、日本人で初めてIPC(国際パラリンピック委員会)殿堂入り(2016年)を成し遂げた河合純一(44歳)が、令和2年1月1日、JPC(日本パラリンピック委員会)の委員長に就任、10日、記者会見が行われた。初めてのパラアスリート出身のJPC委員長が誕生した。
JPCはこれまで、アスリート経験のあるリーダーを選手団団長に据えるなどアスリート中心体制への試みをしてきた。昨年10月、選手会であるアジアパラリンピック委員会アスリート委員会副委員長、日本パラリンピアンズ協会会長を始め、日本身体障がい者水泳連盟会長、JSC(日本スポーツ振興センター)研究員、ナショナルトレーニングセンター副センター長など国の主要スポーツ組織やリーダーと交流のある河合氏へ、委員長のポストを提示した。
パラリンピックまで300日をきるタイミングで、山脇康氏(IPC理事)に代わり選手の視点や経験を生かした体制改革、東京五輪・パラリンピック成功、それによる活力ある共生社会の実現を願うJPCスタッフの総意である。河合氏は記者たちを前につぎのようにスピーチした(省略あり)。
「よくオリンピックは平和の祭典といわれるが、パラリンピックは、人間の可能性の祭典。もっている可能性を発揮することが、人々が自分自身がもっている可能性に気づくことにもなり、想像をこえるパフォーマンスに触れた方々が、ご自身のなかにあるかもしれない無意識のうちにもつ心のバリアを取り除く力ももっているのではないか。このようなパラリンピックに、中心となり、全力で取り組んでいきたい。
本当に、この2020年がスタートしたわけですが、このタイミングで私が委員長に就任、前委員長の山脇さんからも「しっかりがんばってほしい」という言葉をもらっている。228日と迫っていますが、自分自身の経験をしっかり生かしたい。(中略)
2020東京オリンピック・パラリンピックは、本当に多くの皆さんが注目する舞台になります。世界中のアスリートにとって最高の舞台であり、パフォーマンスを発揮できるよう全力で支援することが我々に課されている。IPCとして「フルスタジアム(満席にする)」「ベストパフォーマンス(選手の大活躍)」こういうこと言ってきた。この実現が自国開催のNPC(=National Paralympic Committee)として与えられている職務と認識している。
同時に、私自身の任務としては、2020年の大会後の方向性や将来像を描いていくということも課されております。日本障がい者スポーツ協会は2030年にむけたビジョン「活力ある共生社会の実現」を掲げております。これを達成するために多くの関係者の方としっかりと議論しながら取り組みたい。
私自身が委員長につく大きな理由の一つは「アスリートセンター」な体制の構築をすすめていくことと考えています。練習や選手選考の厳しさを自分自身が経験してきた立場を生かして皆さんとすすめていく。
これは、われわれ日本だけのことではなく、IPCも「アスリートセンタードな組織体制」を掲げており、その流れのなかで、日本が率先して取り組んでいくことが重要に思います。(中略)
(日本の)スポーツ界において、JPCが多様性をあらわす象徴になっています。こういったアピール力があるJPCですので、この想いを、さまざまなスポーツ団体の皆さんとしっかりと連携していきたい。とりわけ、JOC(日本オリンピック委員会)など関係機関と連携しながら、よく山下泰裕会長もいってますが『オリパラ一体となったスポーツ界から、多様性社会の実現にむけたメッセージを発信していく』ということが、我々に求められていると思っています。自分自身の経験を生かし、微力ではありますが、熱意をもってこれらの任務にあたっていく覚悟でいます。
私自身がひとり意気込んでもで実現きないと思います。本日、大変多くの(メディアの)皆さんにお集まりいただいていますが、皆さんの力をおかりしながら、JPCがより発展し、究極の目標である「活力ある共生社会」を実現していきたい。
ご意見をいただきながら、パラリンピック大会の成功、その先を見据えた整備に取り組みたい。簡単ではありますが挨拶とします」
→つぎの頁で記者会見の質疑の様子(抜粋)