11月15日(金)、パラ陸上最終日。金曜日はイスラム教の国の祝日にあたり、会場のドバイクラブでのレースは夜のみとなっていた。
夕方から関係者が集まり、次回2022年開催を担当する神戸市(日本)からのアピールや、トラックでは今大会を取材したフォトグラファーや記者による100mT11のメディアレースが恒例の余興として開催され、スタッフの和やかなひと時があった。
ヨハネス・フロアが大会2つめのワールドレコード!
注目のレースは両足義足による男子400mT62。日本からの参加はないが、100m予選でもワールドレコードのヨハネス・フロア(FLOORS・Johannes/ドイツ)が400mでも45秒78のワールドレコードを樹立。見事な走りを見せてくれた。
男子1500mT52決勝、日本が表彰台を独占!
19時50分にスタートした今大会の最終種目、男子1500mT52決勝で、日本は表彰台を独占した。
T52は、車いすクラスでも重度の障害となり、世界的に男女の選手がすくない。
とりわけ女子クラスは、リオ銀メダリストのマリーケ・フェルフールトがつい先日(10月23日)、安楽死を遂げたことは一人の女性の生き方とパラ陸上の一面を知らせる国際的なニュースとなった一方で、選手不足によりパラリンピックでの種目がなくなることがほぼきまっている。
日本は、中国など強豪国に選手がいないことから金メダルがねらいやすく、今後も力をいれていく種目として期待されている。
男子1500mT52のレースは、佐藤友祈(WORLD-AC)が独走状態で大会レコードを更新する3分39秒99で優勝した。
上与那原寛和(SMBC日興証券)と伊藤智也(バイエル薬品)は、互いの展開を打ち合わせてレースに挑んだ。早い段階で佐藤が前に離れていったあとの集団を伊藤が率い、上与那原が続いた。ゴール付近で上与那原が伊藤を追い抜き、先頭で消耗もあった伊藤は阻止できず、順位が逆転した。
400mでも優勝した佐藤は、レース後に「400mでは(最大のライバル)マーティンでなく伊藤さんだったので、1500mではブッチぎりで優勝しようと思った。世界新は意識したがトラックコンディションが天候により変わってきた。東京にお預けにおもいます。
伊藤さんと上与那原さんが2人で相談したってことだけど、勝負して欲しかった」と話していた。常に人数が少ないから勝てるように思われたくない、という想いを抱いている。
女子400mT20決勝は知的障害の外山愛美(宮崎銀行)が出場。日本新を狙った予選後「決勝では4位に入りたいです」と言っていたが、予選よりもタイムを落とし8位、悔しい結果に終わった。
外山の左手の甲には「見返してやる!」と書かれていた。差別され、つらい思いをしてきたことをバネに走った。
DAY9・11/15(金)日本選手の結果
女子400mT20決勝
・外山愛美 1:01.37 8位
男子1500mT52決勝
・佐藤友祈 3:39.99 1位 金メダル
・上与那原寛和 3:56.21 2位 銀メダル
・伊藤智也 3:56.52 3位 銅メダル
<参考記事>
両足義足の世界最速スプリンターが誕生!ドバイ2019パラ陸上世界選手権(丸山裕理)
http://www.paraphoto.org/?p=24328