11月13日、ドバイ2019パラ陸上世界選手権大会7日目。
世界チャンピオン、マルクス・レーム(REHM Markus/ドイツ)の走り幅跳びの大ジャンプに世界の目が注がれた。
ーー今日の結果に満足してますか
「はい、とてもうれしかったです。今日はディフェンディングチャンピオンとして勝つことを重視していました。8m17は良い結果だと思いますし、タイトルはしっかり守っています。次回もっと大きなチャンスもあると思います」
ーーブレードとの相性は
「快適に感じています。今日はもっと記録が伸びる可能性がありましたが、風の条件が難しかったですね。風が変わり、常に前方から来ていたので、選手たちの多くはランが難しかったと思います。いまコーチと話して、次の試合にはちょうど良い形になるよう(義足の)調整を考えているところです」
男子5000mT54 車いすレース
予選は、10時11分から、3組21名が出場して行われた。日本からは、樋口政幸(プーマジャパン)、久保恒造(日立ソリューションズ)、渡辺勝(凸版印刷)の3名が挑んだが、予選で敗退した。世界をめざす取り組みが花開いた時期もあっただけに、醍醐味を伝える大レースに、多くの関心が集まった。
世界ランク4位の樋口は「速くなったというより、層が厚くなった。つけ入る隙がない」と感想を話した。
樋口は、リオパラリンピック5000m4位、1500m8位。共に日本記録保持者として世界への挑戦を切り拓くなかで、タイムを縮めるためのあらゆる工夫を重ね尽くし、のびしろは少ない。またリオ後の体調不良からのリカバリーの途上にある。
「リオ後のこの3年間に手術もした。身体はまだ60%も戻っていない。40歳という年齢もある。調整はできていた方だった。このまま東京に出場しても価値が見出せない」と話していた。
19時55分からの決勝は、タイのプラワット・ワホーラム(WAHORAM Prawat)が、スイスのマルセル・フグ(HUG Marcel)、中国のショウ・ユウ(ZHANG Yong)を制し優勝した。
中盤、タイの2選手が前方で塞ぎ、ぴったりつくスイスのマルセル・フグを抑えて終盤までスローペースを作る。ラストスプリントで、最後尾のポジションにいた中国のショウ・ユウの外側からの猛反撃のなか、プラワットが逃げ切った。プラワット、マルセル、ショウの順にゴールした。
優勝したプラワット・ワホーラム(WAHORAM Prawat/タイ)は今大会1500mT54でも優勝。シドニーパラリンピック(2000年)からメダルを取り続ける真のチャンピオン。
「結果はとても嬉しい。練習については、どこが大事かのポイントはなく、全てに重きを置いている。1500m、5000mは練習が全く違う。マラソンも。距離とスプリントとをミックスし、両方やることが効果的だと考えている。
出場する大会については、コーチと相談して決めている。自分にとっての最大の目標は東京2020です」とプラワットは話していた。
タイ選手の脅威についてフグは「タイの二人はいつも良いレースをしますよね、特に1位の選手はとても速いですね。要注意の選手です」と話していた。
同じ距離の元アスリートで今大会NHKの解説をしている花岡伸和氏は、プラワットとも交流があった。「タイはチームとしての仲がよく、遠征先でキャンプなんかもよくやっているのを見かけたことがある。タイのコーチはUAE(アラブ首長国連邦)に雇われたこともあったが、その時のUAEは良かったと記憶している。日本も強くなるためのより良い共有により作戦をつくれる体制が必要」とコメントをくれた。
DAY7・11/13(水)日本選手の結果
男子走り幅跳びT20決勝
・小久保寛太 6.49 8位
女子100mT63決勝
・兎澤朋美 16.41(AR) 6位
・前川楓 16.86 7位
男子やり投げF54決勝
・小曽根亮 23.37
男子5000mT54予選
・久保恒造 10:35.59 7位
・樋口政幸 0:49.42 11位
・渡辺勝 11:15.39 20位
(取材協力:丸山裕理、安藤理智)
<参考>
8m超えジャンプ!ジャパンパラで観客を魅了(パラフォト記事)
http://www.paraphoto.org/?p=21783
2014仁川アジアパラ最終日(パラフォト記事)
http://www.paraphoto.org/?p=3711