「Try! No.7、池崎、大輔!」
「Well done! No.21、池、透暢!」
トライが決まるたびに会場DJのコールが響き渡る、「車いすラグビーワールドチャレンジ2019」(東京体育館・10月16日~20日)。
大会2日目の17日はその選手コールに、会場全体の子どもたちが加わった。
今大会は、東京都教育委員会や渋谷区教育委員会を通じて都内の公立学校に対して観戦招待を行っており、17日は小・中・高校生37校5000人余りが駆け付けた。
このうち杉並区立杉並第三小学校の子どもたちは、事前に学校の授業でエース・池崎大輔(3.0)のビデオを視聴済み。会場入りすると、すぐに池崎を見つけると同時に「あ!池崎選手だ!」と試合前から興奮気味だった。
この日は世界ランク6位のフランスと対戦。第1ピリオドで14-11とリードすると、第2ピリオドでは25-18と7点差まで広げて折り返し。対するフランスも33番のSebastien Verdin(3.0)や21番のJonathan Hivemat(3.0)のトライで粘り、終盤までなかなかそれ以上の点差を広げることはできなかったが、51-42で日本は2連勝を飾った。
試合中、スタジアムDJを務めるDJケチャップさんが、マイクを通して会場の子どもたちに提案をした。
「選手たちがトライを決めたら、一緒に名前をコールしよう」。
サッカーの試合のスタメン紹介などのように、会場の一体感を作るため。そして、子どもたち自ら名前を呼ぶことで選手に感情移入をしてもらおうという狙いだった。
「池崎!」とコールすると、「大輔!」と子どもたちが答える。
16トライを決めた池崎にはその「大輔コール」が何度も繰り返され、会場のボルテージは最高潮に達した。中には「大輔、大好きー!」と叫んでいる子どももいたほどだった。
試合後、DJケチャップさんは「すごく感動した。この大会はゴールじゃなく通過点、来年のパラリンピックも通過点。こうやって選手の名前覚えてもらって距離を縮めて、応援が文化になってほしい」とコメント。
池崎は「こんなに”大輔”って呼ばれることないですよね。たくさんの声援の中で試合ができることが本当に幸せ」と笑顔がこぼれた。
選手とスタンドの絆が日本の力になることを改めて実感した瞬間だった。
【大会2日目の試合結果】
第1試合 日本 51-42 フランス
第2試合 カナダ 54-61 オーストラリア
第3試合 イギリス 57-35 ブラジル
第4試合 アメリカ 60-40 ニュージーランド
(校正・佐々木延江)