INAS(国際知的障害者スポーツ連盟)が4年に1度開催する国際総合スポーツ大会「INAS Global Games Brisubane 2019(ブリスベン2019INASグローバルゲームズ)」が10月12日から19日まで8日間の日程でブリスベン(オーストラリア・クイーンズランド州)で開催される。2004年ボルネス(スウェーデン)大会から5回目になるこの大会に世界約80カ国からINASに登録のある知的障害の選手1000名が出場するという。競技は、陸上・バスケットボール・自転車・フットサル・ボート・水泳・卓球・テコンドー・テニス・クリケットの10競技。日本代表は、陸上・バスケットボール(女子)・フットサル・水泳・卓球の5競技に57名の日本代表が参加する。
ブリスベン2019に先立って、日本代表のフットサル選手の合宿が9月21日から23日に東京都多摩市のフットサルステージで行われた。

合宿初日の9月21日、合宿会場のフットサルステージには、国内各地から選ばれた10名の代表選手たちが集まった。選手たちは支給されたばかりのトレーニングウェアを身に着け、木村純一日本代表監督のもと、真剣かつ楽しそうに練習に参加していた。監督、コーチたちは選手たちが前回までの合宿で練習したことを思い出せるよう、ひとつひとつの動きを確認していた。
今までの合宿では守備を中心にした練習を行っていた。今回は守備から攻撃へ繋げる動きを失敗しながらも何度も何度も繰り返していた。練習の最後に5分ほどのゲームで初日の2時間の練習を終えた。

練習を終えて木村監督は、「自分がボールを持っていないときも、いま、誰が、何をしているか見るように。集中してください。(試合では)戦える選手を使います。今日・明日ではうまくなりません」と、厳しい言葉を掛けつつも「激しくやってほしいんだけど、10人しかいない仲間なんだから怪我をしないようにやって欲しい」と初日の練習を締めた。
野崎将智キャプテン「優勝を目指します」
初日の練習を終えたキャプテン野崎将智(東京都)にブリスベン大会に向けて聞いた。
「前回の大会では5位という結果で終わり悔しい思いをした。今回その雪辱を晴らすため、新しいメンバーとオーストラリアのブリスベンで優勝を目指しています」

「今日の練習では、全員気持ちがそんなに入らず臨んでしまった。木村監督が言っていた指摘を大事にして、明日からの練習では気持ちを切り替え、残り僅かな時間の中で、自分たちがどこまでレベルを上げられるか、一つ一つの練習を大切にします。実力は一瞬では上げられないので、自分たちの技術をすべて出して、この合宿ではみんながひとつになれるよう頑張ります」と野崎キャプテンは初日の練習を振り返った。
ーーーキャプテンとして伝えたいことは?
「キャプテンらしいことは何もできませんが、前回から残った自分ともうひとり、二人が(徳丸舜/熊本県)いるんで、国際大会での経験を他の選手に伝えたいと思います」
野崎はフットサルの社会人リーグ(CMISA)でプレーしている。それに対し、他の選手は知的障害ということでフットサルをやる環境が限られ、サッカーしか経験できていない場合が多い。
「自分が学んできたことを、ひとつひとつ教えられたらいいなと思っています。自分は4年前(前回大会5位)の悔しさがあり、フットサルチームに入りました。最初は別のチームに入っていたんですが、そこでは自分の実力が上がらないと思い、木村監督に今のチームを紹介してもらいました。そこで、自分のレベルを上げました。うまい人のところに行けば自分自身が上手くなります。学んだことを周りの人にも(試合で)教えることが出来たらいいなと。みんなが同じような環境でフットサルをやれなくても、自分が教えれば刺激になるし、言葉ではうまく伝えられないから、体を使ってなら(教えることが)出来る」と話していた。

ーーーどんなフットサルを伝えたいのか?
「技術的なことがサッカーになっちゃっています。フットサルの技術、(監督の)言っていることもだいぶわかるので、フットサルとしての動きがわからない選手がわかるよう、自分からもっと分かりやすく説明を出来たらなと思っています」
ーーー前回大会を経験した反省点とは?
「海外では(健常者の)フットサルチームに入ってそこで学んでいる選手が多いんです。前回日本はフットサルのことを知らな過ぎて臨んじゃったから、勝てなかったのかなというところがあった。5位という悔しさも経験した。(シュートを)何回も止められるチャンスがあったのに止められなかったんです」とフットサルに対する熱い気持ちを語ってくれた。
木村純一日本代表監督「日本代表の強みを生かして」
木村監督は、大会に向けて「4年ぶりの世界大会ですけど経験のある選手(野崎と徳丸の二人)が少ないのでフレッシュな気持ちで臨みます。監督としては(前回から引き続き)2回目なので前回の世界大会の分析をして日本代表の強みを出して優勝を目指して頑張っています」と語った。

ーーーどういう指導をしているのか?
「(前回大会の)映像を見返して、その度に悔しい気持ちとか、あの時あんな風に思っていたなと思い出しています。あの時のあの失点がという話をしている選手もいるので、そういう思いを大事にしています。
選手たちに対しては、結果はもちろんですけど、世界でフットサルで勝負できることはそんなに多くありません。まずは楽しんでもらいたい。しかし楽しむためには勝つ努力をしなくてはいけないし、体を作らないといけません。世界の人と関わって真剣勝負が出来ることを楽しんでほしいと思っています」
ーーー心配なこととは?
「我々が心配するよりも選手たちはコミュニケーションを取れるのでそこは全然心配していません。オーストラリアは環境もいい、時差も標高差もないので(前回のエクアドルのキトの会場は標高2850メートルの高地だった)その辺はすごく安心しています。
ただ、このチームは、世界の大会での真剣勝負をしたことがありません。今日の練習もそうですけど、実際のイメージを持てていないので、自分たちの現状に満足しちゃっているかなというところは危機感としてあります」
ーーー今回の合宿で目指していることは?ーー「必死になってやって欲しい。」

「もうここまで来ているので上手い下手だけじゃなくて、本当に必死になってやるとか、ボールを掻き出すとか、スライディングでなんとか防ぐとかというところを選手から引き出したい。明日の練習試合も東京都の1部リーグで首位の情熱ロンリネスを呼んでいるので、上手い下手ではなく、必死になってやり、殻を破ってほしい。強い相手に立ち向かって行くことを一回やっておかないと、本番でしゅんとしちゃうかと。明日の練習試合と午後の練習、3日目の練習が激しい練習になると思います」と木村監督は語ってくれた。
代表合宿2日目の午前中、情熱ロンリネスとの練習試合は、1本目(30分)0-4、2本目(30分)0-7、3本目(15分)0-1と合計0-12で終えた。
知的障害のフットサル日本代表は、10月5日から9日まで千葉県のアルビンスポーツパークで国内直前合宿を行い、9日夜に成田空港をオーストラリアに向けて出発する。
ブリスベン2019INASグローバルゲームズ/フットサル日本代表メンバー
FP 赤須 勝一郎 (あかす しょういちろう)19歳 王子ジャッキーズ所属
FP 岡田 秀太 (おかだ しゅうた) 16歳 横浜Fマリノスフトゥーロ所属
FP 吉川 圭祐 (きっかわ けいすけ) 21歳 王子ジャッキーズ所属
FP 佐藤 快 (さとう かい) 21歳 王子ジャッキーズ所属
FP 澤田 偲努 (さわだ しど) 18歳 札幌NFC所属
FP 徳丸 舜 (とくまる しゅん) 25歳 ソレッソ熊本所属
FP 利根川 優輝 (とねがわ ゆうき) 22歳 水戸クラブ所属
FP 中村 海斗 (なかむら かいと) 21歳 横浜Fマリノスフトゥーロ所属
GK 野﨑 将智 (のざき まさとも) 24歳 王子ジャッキーズ所属
GK 岡本 一希 (おかもと かずき) 22歳 アイディス大阪所属
*年齢は2019年10月12日(開会式)時点。
ブリスベン2019INASグローバルゲームズ/フットサル大会日程(現地時間 日本時間は+1時間)
10月13日 グループステージ
10:00より オーストラリア対ポルトガル
ポーランド対日本
フランス対サウジアラビア
10月14日 グループステージ
10:00より オーストラリア対日本
ポーランド対サウジアラビア
フランス対ポルトガル
10月15日 グループステージ
10:00より オーストラリア対サウジアラビア
ポーランド対ポルトガル
フランス対日本
10月17日 準決勝
10:00より
10月18日 決勝戦
10:00より
<参考>
・大会ホームページ
https://gg2019.org/
・日本知的障がいサッカー連盟
http://jffid.com/
<編集・佐々木延江>