ロンドンで開催されている「London 2019 World Para Swimming Allianz Championships(パラ水泳世界選手権)」。知的障害クラスの山口尚秀(瀬戸内温泉スイミング)が男子100m平泳ぎで1分04秒95、世界記録をマークし、日本金メダル第1号。初めての世界選手権で東京内定の切符をつかんだ。「平泳ぎの魅力は、1回のキックで推進力が出るところと、自分自身が波のように泳げる感覚が気持ちいいところ」と、18歳の笑顔を弾けさせた。
強さの秘訣は、おばあちゃんの手料理?
山口の地元は愛媛県今治市。一緒に住む祖父母が通っていた「歩行浴ができる施設」に幼い頃連れて行かれ、水に親しむようになったことがきっかけで水泳をはじめた。
実家では野菜を栽培しており、祖母の作る野菜料理は彼の大好物。「おばあちゃんの作ってくれているいろんな料理のおかげで、バテにくい体で練習にも取り組めています」と話す山口。東京パラリンピックでの活躍が何よりのおばあちゃんへの恩返しだ!
日本のエース・木村、鈴木の金メダルはお預け
きょう29歳の誕生日を迎えた日本のエース・木村敬一(S11・視覚障害クラス/東京ガス)は、100m平泳ぎに出場。大会初日の50m自由形から順位を1つ上げ、3位の銅メダル(1分12秒86)だった。
「平泳ぎは難しい。体の調子はよくても何かがハマっていないと泳ぎながら感じていた。明日の200m個人メドレーは厳しい戦いになると思うが、(自由形の4位、平泳ぎの3位から)順位を1つずつ上げていきたい」と、次のレースに向け気持ちを切り替えていた。
大会2日目の100m自由形で銀メダルを獲得している日本選手団キャプテン・鈴木孝幸(S4・身体障害クラス/GOLDWIN)は、150m個人メドレーに出場し、銅メダル(2分37秒29)。東京内定の知らせは、持ち越しとなった。
「(リオ金メダルの)キャメロン・レズリー(ニュージーランド)が出場していないので、メダルは獲れたが実質4位だと思っている。自己ベストは出たがこのままでは厳しい。あすはしっかり体を休めてあさってからの3連戦に備えます」と振り返った。
また、東京内定を決めた山口については「いいキャラクターで日本チームを和ませてくれている。平泳ぎはもちろん背泳ぎもバタフライも強く、これからもっと伸びる選手。本当に良かった」とコメントしていた。
【他の選手の結果】
◆男子100m平泳ぎ(SB14)
田中 康大(気愛水泳塾)
予選:1分10秒22 (9位・予選落ち)
◆女子100m平泳ぎ(SB14)
芹澤 美希香(宮前ドルフィン)
予選:1分21秒46 決勝:1分21秒10(7位)
◆女子100m自由形(S13)
辻内 彩野(三菱商事)
予選:1分00秒31(2位) 決勝:1分00秒29(4位)
<参考>
公式情報(IPCスイミング)
https://www.paralympic.org/london-2019
(校正 望月芳子)