車いすバスケットボールの国際大会「三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2019」の最終日が1日、武蔵野の森総合スポーツプラザで開催され、日本は総合3位で大会を終了。チームが明かした次への課題は、「自力」と「粘り強さ」だった。
前日の試合では世界選手権4位のイランに快勝するも、得失点差で決勝に進めず、韓国との3位決定戦に臨んだ日本。ラストゲームとなった日韓戦は50−36で日本が韓国を制し、ホームで有終の美を飾った。この結果、4日間に渡り行われた3試合では、初日・最終日の韓国戦、3日目のイラン戦で計3勝、2日目のオーストラリア戦では1敗と、3勝1敗の結果。昨年大会の全勝・優勝の連覇は叶わなかった。
トランジションバスケの進化
チームの共通認識として、まず語られたのが今大会での手応えだった。及川晋平ヘッドコーチは試合後、「全体を通して良かったと思う。イランに勝てたこともそうですし、オーストラリアとは去年と違うことをあえてやっているなかで、手応えがあった。これからレベルの高いところに行けそうだ、という手応えはあります」と4日間を振り返った。
日本が信条とするスピーディーな「トランジションバスケ(堅い守備からの速攻)」は、進化とともに、新たな段階に差し掛かっていた。
エース・香西宏昭は「トランジションバスケの強化と、ハーフコートオフェンスの強化を合宿に参加して感じました。去年は、トランジションで行けなかったら、誰かがシュート打って、すぐプレス、みたいな大雑把なバスケというイメージだったんですが。今やろうとしているのは、質も高めるのはもちろん、トランジションで上手く攻め切れなかったときには、ハーフコートオフェンスに移行する。その移行スピードをどれだけ早くできるのか、練習試合を含めた6試合で、着実に精度は上がっていると感じます」と、成長の実感を語った。
来年に向けて積み重ねる「自力」
一方で、課題として挙げられたのは、「個の力」や「粘り強さ」。最終戦の前に、及川ヘッドコーチは選手たちに危機感を伝えていた。「イランに勝ったということで満足しないということ。我々の目指すバスケはまだまだ高いレベルにある。このままではだめだぞ、と伝えました。ここから得点力や、気持ちの切り替えなど、どれだけ自力を作っていけるか。メダルを獲るという目標で考えると、ここが最低ラインです。フィジカルやメンタル、スキル、チームの性格を強くしていかなきゃいけないということですね」と思いを語った。
香西は「40分間やり続けるメンタルとフィジカルですね。上手く行かない時に、うーんとなっている時間がありました。バスケットボールはすぐ状況が変わっていくスポーツなので、本来そうなっている暇はないんですけど。オーストラリアに勝ち切ることができなかったのは、僕はそれだと思っています。イラン戦みたいなしつこいディフェンスができていたら、状況は変わっていたのかなと思います」と分析した。
怪我で久々の実戦復帰となったキャプテンの豊島英は、コートの外から見た気づきもあった。「いい時と悪い時の差がベンチで見ていてよくわかる。気持ちの切り替えが出来ている選手と出来ていない選手がいるので、12人で出来るようにしないと、本番で(会場の雰囲気に)飲まれてしまうのかなと思います。そういったところは、チーム全体でカバーしていきたいですね」と今後の課題を語った。
今大会の観客動員は、4日間で2万2000人を超えた。試合後には大勢の子供たちが選手にサインを求めるなど、ファンの期待も高まっている。
次なる戦いは、11月にタイで行われるパラリンピック予選会「アジア・オセアニア チャンピオンシップス」。今大会での「手応え」を「結果」につなげられるか。たくさんの声援を背に、日本代表の挑戦は続く。