イランが総合力で優勝を掴み取った。武蔵野の森総合スポーツプラザで開催された車いすバスケットボールの国際大会「三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2019」の大会4日目が9月1日に行われ、オーストラリア対イランの決勝戦で、イランが58−84で勝利。アジア王者が大会初優勝を飾った。
この日のイランは得点力が爆発した。試合開始直後、13番モルテザ・アベディが得点を決めると、勢いに乗ったイランのオフェンス力が炸裂。14番モルテザ・エブラヒミや、7番オミドゥ・ハディアズハールら、障害の比較的軽いハイポインターらを中心に、第1ピリオドからダブルスコア以上の差をつけリードした。
得点力では、ローポインターらの活躍も光った。車いすバスケットボールでは、一般的に、障害の軽いハイポインターらがその身体能力を活かし、攻撃的な役割を担うことが多い。しかし、この日は10番モハメッド・モハメッド・ネジャードゥや40番アブドルジャリ・ガランジークら、ローポインターがカットインしてボールを奪うと、素早くインサイドに潜り込み、シュートまで持っていく粘り強さも見せた。この試合では、ネジャードゥが10得点の活躍。ハイポインターだけでなく、ローポインターも着実に点を積み重ね、全員バスケで優勝を掴み取った。
試合後、7番ハディアズハールは、オーストラリアに勝利した要因について、「この大会が決まってからずっと、抑えるべき選手を分析していた。彼らのウィークポイントを見つけてきたので、そこが勝てた要因かなと思います」と語る。実際にオーストラリアの得点源、ショーン・ノリスはこの日、わずか7得点に留まった。鉄壁の守備でインサイドへのコースを封じ、得意のシュートを打たせなかった。
一方、前日の日本戦で、63−57と負けを喫したイラン。日本の印象については「とても強くて、アジアを代表するチーム。特に香西(宏昭)は世界で通用するトッププレーヤーだと思う」とした。
昨年のアジアパラリンピックで勝利した日本に今回は負けた理由として、「今日のファイナルに向けて、昨日は少しメンバーを変えていた。そういったアレンジの中で、バランスが整わなかったのが原因だと思う。日本が昨年よりもはるかに強くなっていたのもそう。それに対する準備が足りなかったと思います」と分析した。
11月にはタイでパラリンピックの予選会が控えている。今大会出場の4ヶ国が再び激突する「アジア・オセアニアチャンピオンシップス」だ。11月に向けてハディアズハールは、「次の大会でここ(東京2020)に来られるかどうかが決まる。しっかり準備していきたいと思います。来年また東京に戻ってきます」と、さらなる躍進を誓った。
(校正・佐々木延江)