2月10日(日)、富士通スタジアム川崎(神奈川県川崎市)にて、『KPMGカップ ブラインドサッカークラブチーム選手権2019』が開催された。同大会は、昨年8月から12月にかけて実施された国内各地域(北日本、東日本、中日本、西日本)のリーグ戦上位7チームに加え、韓国から『プラミスランドブラインドサッカーチーム』を招待し、トーナメント形式で行われた。2月9日、10日の2日間に渡って開催される予定であったが、降雪のためスケジュールを変更し、10日の1日のみで試合を行うタイトなスケジュールとなった(下位決定戦は中止)。
決勝カードとなった、たまハッサーズ(東日本リーグ1位)、Avanzareつくば(東日本リーグ3位)戦は、ハッサーズが1対0でAvanzareを破り、7年ぶり2回目の優勝を果たした。
両チームそれぞれ、黒田智成(5番/たまハッサーズ)、川村怜(5番/Avanzareつくば)という日本代表のストライカーを擁し、準決勝も両者の得点力が爆発し、勝ち上がってきた。ハッサーズは、同じく日本代表に選出されている田中章仁(7番)や日向賢(15番)らも堅実なプレーを見せ、Avanzareのエースである川村を封じ込める戦略をとった。
「川村選手を中心に攻めてくるのはAvanzareの特徴なので、彼(川村)がボールを持った時は身体を寄せてシュートコースをふさぐことに集中していました」と日向は振り返る。
前半10分、川村らのマークを振り切り、巧みなドリブルでAvanzare陣地深くに切り込んだ黒田が、待望の先制点をもたらすと、ハッサーズは最後までその1点を守りきった。
値千金のゴールを決めた黒田は試合後にこう話した。
「(2017年には)ブラジル代表に決勝で負けたりと、あと一歩のところで優勝を逃してきたので、このタイトルは今後の自信になります。ここ最近、日本代表でもあまり良いプレーができず、自信を失いかけていましたが、各試合でイメージどおりのゴールを決めることができました」
また、在籍メンバーの多いハッサーズらしい、臨機応変な戦術展開も功を奏したようだ。黒田が続ける。
「固定したメンバーで出場するのではなく、点を獲りにいく時、ディフェンスに注力する時など、展開に応じてメンバーを入れ替えながら皆で力を出し切って決勝まで進出することができました。日本代表に選ばれている選手が注目されがちですが、そうではない選手も含めて、総力戦でつかみとった優勝だと思います」
厳しいチェックにあいながらも、隙と見るやバイタルエリアに侵入し、ハッサーズゴールを脅かした川村だったが、決勝では無得点に終わった。
「ワンチャンス、トモさん(黒田)に決められてしまって、あの一本を防いでいれば、何かが起こったかもしれません。僕もチャンスが何回かあったので、しっかり決めきれていれば・・」と悔しさを見せたものの、一方で収穫もあったという。
「相手が絶対に止める、という強い気持ちでマークしてくる中で、力まかせに対応すると、逆に消耗してしまいます。だから、力をうまく逃がすというか、相手の勢いをいなすというイメージでプレーしていました。フィニッシュ(シュート)までの動きに関しては普段からこだわって取り組んでいるので、短い時間ではあったものの、相手が引いている状況でも得点(トーナメント1回戦、準決勝で計4得点)できたことは、練習の成果が現れたと感じます」
今大会に続き、3月19日から24日には、品川・天王洲公園にて『IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ(WGP2019)』の開催も控えている。日本を含めた8カ国(アルゼンチン・スペイン・トルコ・日本・コロンビア・イングランド・ロシア・タイ)がしのぎを削る国際大会である。黒田、川村ら日本代表メンバーは、今月下旬の強化合宿を経て同大会に臨む。
「素晴らしいチームと試合ができるので、日本が現在取り組んでいる攻撃スタイルを発揮しながら、個としては得点を決めることこだわりをもって臨みたいと思っています」(黒田)
「去年悔しい思い(5位)をしているので、今年はさらに上のステージに勝ち上がって、その先の景色を経験できるように、一つ一つの試合を必死に戦っていきたいと思います」(川村)
【大会結果】
優勝:たまハッサーズ
準優勝:Avanzare つくば
第3位:プラミスランドブラインドサッカーチーム(韓国)
第4位:free bird mejirodai