10月12日(金)14:30~16:00、BalaiKartiniにてゴールボール女子決勝が開催され、日本代表女子チームが金メダルを掛けて中国と対戦した。
フォーメーションは、ライトに小宮正江(9番・アソウ・ヒューマニーセンター)、センターに浦田理恵(2番・アソウ・ヒューマニーセンター)、ライトに若杉遥(2番・ALSOK)のメンバーで臨んだ。
中国ボールで試合が始まり開始30秒、小宮が中国のゴールをこじ開け日本が先制。
そして1分後、中国の選手がハイボール(*1)というペナルティーにより日本は再びチャンスを迎える。
相手は一人でゴール9mを守る。対する日本は、先制点を決めた小宮がボールを持ち攻撃、ここもしっかりと小宮が決め2-0で日本は有利に試合を展開できるようになった。
ロンドンパラリンピックで金メダルの獲得経験もある浦田が試合中、仲間に向け『姿勢ね』と守備の意識をもう一度高めさせる。
試合は2-0のまま日本有利で試合は進み、若杉がOUTし欠端瑛子(3番・セガサミーホールディングス)がコートにIN。
このまま前半が終了するかと思われたが、中国反撃、残り時間1:23秒で中国のNO.2XILING,ZHANG選手が得点をし2-1となり1点差で前半終了を迎えた。
後半では、前半終了時と同じメンバー・フォーメーションのまま両チームともスタート。
中国のNO.2が再び得点し試合は2-2の同点になり振出しに戻る。
しかしすぐさま日本の欠端が反撃し3-2で日本は逆転に成功、その二分後に再び欠端が二連続得点し4-2と点差を広げる。
中国のハイボールによって日本はさらにチャンスを迎え、二連続得点をしている欠端が再び投げ三連続得点をし5-2と大きく中国を突き放した。
その後は中国の猛攻撃が始まったが日本のゴール前は、鉄壁であった。
試合の終盤にかけ市川喬一監督(HTKライフ住宅ケアーグループ)から「もう一回気合い入れろ、コースの4~4.2を狙え」と指示が飛ぶ。監督の指示通り小宮が何度もギリギリのライン際で中国の得点を防ぐ場面が見られた。
残り1:30で中国のNO.1WEI,XILINGが得点を決め5-3になるが、日本チームが逃げ切り優勝を決めた。
5-3で日本が優勝。勝利した瞬間にメンバーのもとに全選手・スタッフが集まり優勝の瞬間をみんなで分かち合い涙を流す選手もいた。
円陣を組み、皆で天井に向けガッツポーズ。皆で仲良く手をつなぎ相手選手のもとへ行き握手をし、会場へ感謝の気持ちを込めて挨拶した。日本スタッフから国旗が渡され、選手皆で会場を国旗を持ち2周。
悲願の「金メダル」を獲得した。
インタビュー
決勝で2得点、そして鉄壁の守備−−小宮正江−−
みんなの力を一つにして勝ち取ったメダル全勝優勝することができすごく嬉しいです。先制点に関しては、中国とは予選で戦って勝ったからこそ難しい試合でしたがしっかりと先制点を取ることができラッキーだったと思います。
後半の守備では、日本は一人ではなくみんなで守り抜くチームです。ほかの人のミスは他の人がカバーするというやり方でやってきています。いつも助けてもらっているので今回は、自分がみんなのカバーをすることが出来よかったです。
これまでやってきた事が成果として出すことができたと思います。2020東京に向けてこれから課題を克服してみんなでトライしてまた強くなっていきたいです。日本にいるメンバーに対しての同じ思いで戦っていて、それが結果としても繋がったと思います。最後に、応援してくれている方々に感謝しています。
後半三連続得点−−欠端瑛子−−
追加点をすることができチームの組み立てに余裕を与えることがき良かったです。相手チームに流れそして追い上げをさせないように自分自身の得意であるボールを投げることができました。私の武器は回転して投げることで強いボールを投げることです。得点を取ることで流れや雰囲気をチームにもたらすことができました。最低ラインの金メダルを取ることができたので、この気持ちを持ち続けて二年後の2020に向けしっかり練習していきたいです。金メダルは、日本にいる家族のみんなに見せたいと思います。
監督−−市川喬一−−
中国戦を迎えるにあたり、必ず僕らの方が上だということは伝えていました。気持でも負けるつもりはない、この決勝という舞台そして環境で自分をどれだけコントロールすることができるか課題でした。後半、若干乱れてしまった。天摩・小宮の二人が体調不良でしたが何とか小宮が最後まで戦い抜いてくれて感謝しています。
小宮のパフォーマンスは半分以下であったと思います。途中で吐き気もあったと本人も言っていたので躊躇しましたが、彼女はキャリアがありここで出場しないと2020に自分自身が出れないとも語っていたのでその言葉を信じて最後まで出場させました。
先制点に関しては作戦通りでした。2-0か3-0で行くと思っていて、後半は相手の攻撃をどれだけ我慢できるか。後半は、リオの際の反省である守備体型の変更を実施しました。前半は、センタープレーヤーを中心に三角形で守理、後半は、日本の得意である一文字体型(全員が一直線に守る方法)で守った事でゲームをコントロールすることができたと思います。
追いつかれた場面では欠端が得点を取ってくれると信じていました。
その後の試合展開は、小宮が苦しがっていたが倒れたら起こしてあげるから、頑張れと彼女に伝えました。天摩もあまりいい状態ではなかったです。
今大会は今後の大きな自信になるはずです。守備の柔軟性と攻撃の多様性。日本は、守備重視だと言われてきているが今大会ではそれなりの得点をすることができてきている。2020に向けいい出発が出ました。欠端は、世界で通用する選手なので今後トレーニング励み頑張って欲しいと思います。
表彰式は、男子の決勝戦が終わり次第行われた。日本代表が入場してくると地元のインドネシアの方々からの歓声が会場中に響き渡った。
表彰が始まると日本の選手たちは、ほかの国の選手に比べると自由に並んでいて、その様子を見た日本代表のスタッフ陣が大声を上げ『もっと左・右』と声を掛ける場面も見受けられた。
日本の出番になると、選手全員で手をつなぎ手を高く上げ優勝を喜んだ。その後一人一人にメダルが掛けられ、国旗掲揚が行われ「君が代」が会場に流れると、大きな拍手で今大会が締めくくられた。
最後にはサプライズとしてくす玉からカラフルな折り紙が落ちてきた。日本の選手たちが猫のように、降ってくる紙を楽しんでいる姿が印象的だった。その後フォトセッションが行なわれた。
最後にドラマが待っていた。セレモニーの際記念写真にいなかった監督の市川は、選手の皆を会場の外で待っていた。すると選手一人一人からメダルが監督へと掛けられたのだ。
そのまま市川監督・選手・スタッフで記念撮影。記念撮影が終わると、選手によってかけられたメダルは市川監督の手で選手ひとりひとりへ、声をかけ返されていった。
(*1)用語解説:ハイボールとは、投球されたボールが投球者の手を離れた後、そのチームのハイボールライン(6m)の上か手前で、少なくとも1回はコートに触れなければならず、投球した選手にはハイボールペナルティ が科せられる。
引用文献
*1ハイボールに関して:ルールブック(2018-2021) IBSA Goalball Rules and Regulationsより抜粋
取材機材提供:ニコンイメージングジャパン
(編集・校正・金子修平)