9月22日から24日にかけて、横浜国際プールで行われた「2018ジャパンパラ水泳競技大会」。
大会新記録261・日本新記録40・アジア新記録6が生まれ、多くの日本人選手もアジアパラ大会を前に手ごたえをつかんだようだ。
そんな中、涙を見せた2人の選手がいる。
視覚障害の辻内彩野(スポーツクラブOSSO南砂)と、上肢障害の森下友紀(ダンロップスポーツクラブ北松戸)。
若手のホープたちの、涙の理由とは。
憧れの選手を前にして・・・
辻内は今大会、4種目で優勝。100m平泳ぎでは日本新記録も樹立した。
「憧れは萩原智子」と公言する辻内。「中学の時にサインをもらったことがあって、すごく優しくて。力強い泳ぎはすごく勉強になります」。
そんな辻内の前に、今大会を取材に訪れていた萩原本人が現れたのだ。
驚きのあまり、ミックスゾーンで号泣する辻内。「本当に頑張ってね」と握手されると、さらに涙がこぼれていた。
ライバルに負けて・・・
森下は、100m自由形の日本記録保持者、だった。
今大会で、同じクラスの一ノ瀬メイ(近畿大学)に塗り替えられてしまったのだ。
「率直にどう思っているのか?」とミックスゾーンで質問されると、それまで笑顔で対応していた森下が急に泣き崩れた。
「本当に・・・悔しいです・・・。メイちゃんが見えていたので自分もピッチを上げていたんですけど、追いつけなかった。でもメイちゃんがいたからこそ、今日も1分9秒台を出せたので、よかったと思います」
気丈にふるまい、涙をぬぐう姿が目に焼き付いた。
辻内と森下は高校時代の同級生で、たびたびお互いのSNSにも登場するほどの仲良し。
だんだんと視力が悪くなり健常の水泳から離れていた辻内を、パラ水泳に誘ったのも森下である。
感激の涙と、悔し涙。
それぞれの涙が彼女たちを成長させることは、間違いないだろう。
(校正・金子修平)