ロー・ポインターにとっても、2020東京は大チャンス!
世界的に見ても、パラリンピックを頂点とする車いすバスケットボールの人気は高い。日本の競技人口は全国に10ブロック73チーム・645名(うち女子は8チーム・70名/JWBFホームページ)。
2020東京パラリンピック開催が決まり、車いすバスケットボールへの注目が高まり始めて、パラ競技全般の普及が進んでいる。
一見マニアックなクラス別大会に見える「High8選手権大会」。車いすバスケットボールが元々脊損者のスポーツ(切断は含まれていなかった)から始まったことを考えれば、ロー・ポインターの存在を見つめ直す素晴らしい機会になるだろう。ぜひ、アジア大会、世界大会、ひとまずオープン大会の開催など、条件が合えば参加したいという選手は世界中に多くいることだろう。
通常の14点の大会で、「High8」はハイ・ポインターのようなパワフルな動きはできない。試合の中では地味な存在である。しかし、ロー・ポインターを試合に入れることは車いすバスケットボールの大事なルールであり、いかにその力を発揮することができるかが試合の要となる。
ちなみに、世界で活躍するHigh8出身者は、まず4大会連続でパラリンピック出場、北京パラリンピック日本選手団の主将・京谷和幸(1.0/千葉ホークス)がいる。現在、日本代表コーチとして世界選手権に帯同している。
そして、藤井新悟(1.5/宮城MAX)、豊島英(2.0/宮城MAX)、永田裕幸(2.0/埼玉ライオンズ)、藤澤潔(2.0/埼玉ライオンズ)、鳥海連志(2.0/パラ神奈川SC)など、車いすバスケットボールに関心を持って検索すれば数々の有名選手を見つけることができる。
「High8選手権では、技術を習得するだけでなく、世界レベルの選手と一緒にプレーができ、モチベーションが高まる。励みにもなるところがいいと思う。車いすバスケットボールの普及が進んでいるとはいえ、いまひとつ実際の集客が少ない(重度障害でかわいそうというのがあるのかもしれない。)試合を間近で見てくれたら、障害のある人も、観る人も考えが変わるように思います」と、関東車椅子バスケットボール連盟・高橋俊一郎会長。
高橋さん自身も例外ではなく、18歳で怪我をして、車いすバスケットボールを見て、「すごい!」と思い、競技を始めたロー・ポイントのプレーヤーである。この日は出場がなく、運営やスポンサー企業の接待に奔走していたが、ガッツのある戦いぶりを見せた「群馬マジック」に所属している。
高橋さんと群馬マジックは、9月に高崎アリーナで開催される「日本選抜車いすバスケットボール選手権大会」のホストチーム。今年で29回目を迎える大会で、惜しくも日本選手権に出場できなかった16チームを集めた大会である。
「日本選手権の次のチームがいる、ということを知らせたい」と、高橋さんは話していた。選手目線での普及のために、大会を考案し、様々な形での車いすバスケットボールの魅力を伝えている人だ。
(校正:望月芳子)