ハンブルグで世界選手権が始まった車いすバスケットボール。8月18日、世界に通用するロー・ポインターの強化、育成を担う「High8選手権大会 関東ブロック予選会」が横浜市(障害者スポーツ文化センター 横浜ラポール)で開催された。
現在、世界における日本の位置付けは、リオパラリンピック(2016年)で男子が9位。アジアパラでは2010年に男女ともに優勝しているが、世界では男子は7位が最高。女子はシドニーパラリンピックで銅メダルを獲得したものの、ロンドン(2012年)、リオでは出場権を逃している。そうして、日本の車いすバスケットボールは常に世界トップを目指し、厚い壁と戦ってきた。
「High8」の大会は、脊髄損傷の選手、手などにも障害がある重度の選手(ロー・ポインター)のスキルアップを目指して考案された。18回目の全国大会を控え、定着している活動だが、実は、日本にしかないユニークな取り組みなのである。
車いすバスケットボールで最も重要なルールは、障害の程度でクラス分けし、障害に応じたポイント(=持ち点)による5人のプレーヤーの合計が最高14.0ポイントになるようチームを組み、戦略を立てること。
つまり、切断やポリオなどの障害の軽い選手(ハイ・ポインター)と、脊髄損傷などで腹筋も背筋も使えないなど重度障害の選手(ロー・ポインター)がともに出場。5人の組み合わせが勝ち負けの鍵を握る。
それに対し「High8」は、チームの合計ポイントを最高8ポイントまでにしたバスケットボール。男子は1.0~2.5点のロー・ポインターの選手が対象。男女混合、女子のみのチームもある(女子については本来の持ち点からポイントをマイナスしてチーム編成できるというルールになっている)。
「全員に光ってほしい。上手い選手は、自然に光が当たる。そうじゃない選手にも光を当てることで、日本の選手全体の強化をしたい」と、大会を準備する関東車椅子バスケットボール連盟・高橋俊一郎会長は話す。
本番の日本選手権は、来年1月26〜27日に、初めて横浜ラポールを離れ、観客席のある藤沢市の体育館で開催される。
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「ロー・ポインターにとっても、2020東京は大チャンス!」