このうち前川楓(T63/チームKAITEKI)は「初めてのアジアパラ。精一杯頑張ります」と抱負を語っている。
前川は、100mと走り幅跳びでアジア記録をマークしたばかりの20歳。記録更新の1週間後、7月7日・8日に行われた「2018ジャパンパラ陸上競技大会」では、同じクラスの世界トップアスリート、マルティナ・カイローニ(イタリア/T63)と対決する機会を得た。世界のレベルの高さに刺激を受けた。
カイローニは100mの世界記録保持者で、ロンドン・リオと2大会連続の金メダル。走り幅跳びでもリオパラリンピックで銀メダルを獲得している。 今回のジャパンパラ、100mではカイローニに1秒75の差をつけられ16秒96の2位。
「スタートの時点で全く彼女が見えなかった」と驚きを隠さなかった。走り幅跳びも3m96で2位の成績を収めたが、カイローニとは1メートル近い差があった。 「まだ日本のレベルでは世界に勝てるレベルじゃないということが改めて分かった。カイローニは憧れで遠い存在だが、1日でも早く近づけるようにしたい」と今後の飛躍を誓っている。
視覚障害のクラスでは、高田千明(T11/ほけんの窓口グループ)も推薦された。
高田は100mと走り幅跳びでリオパラリンピックに出場、走り幅跳びでは8位に入賞。東京パラリンピックでのメダル獲得を目指している。 今シーズンのジャパンパラでは100mで13秒77、走り幅跳びでは4m36の結果だった。
特にメインとしている走り幅跳びでは
「今取り組んでいることが1つでもかみ合えば4m50が軽く超えられると思っていたが、うまくいかなかった」と、満足はしていない様子だった。
現在、井村久美子コーチ(北京オリンピック日本代表、女子走り幅跳の日本記録保持者)に前川とともに師事。足よりも先にお尻がついてしまう癖があったため、空中で「ため」を作って足をしっかり前に出せるよう、フォームの改善に取り組んでいる最中だ。
「姿勢をしっかりと作れれば、おのずと距離は出るとコーチに言われたので、記録を出してメダル獲得を目指します」と話す高田。去年の世界選手権でマークした、自身の日本記録の4m49を超えられるかに注目だ。
2020年を見据え、若手の飛躍にも注目だ。
去年12月にドバイで行われた、19歳以下を対象にした「アジアユースパラ競技大会」に出場した日本代表選手のうち、兎澤朋美(T63/日本体育大学)、竹村明結美(T38/特定非営利法人シオヤレクリエーションクラブ)、吉川琴美(T37/特定非営利法人シオヤレクリエーションクラブ)の3人が推薦された。
100m・走り幅跳びで前川楓とライバルの兎澤は「本格的に競技を初めて2シーズン目。冬場の体力作りなどを経て今年は調子がいい」と語っている。
前回、韓国・仁川で行われたアジアパラ競技大会では、日本は陸上で42個のメダルを獲得。参加国のうち中国・イランに次いで3番目の多さだった。今回、その数を上回ることができるのか、期待が高まる。
推薦された候補選手は日本パラリンピック委員会による競技力審査とメディカルチェックを経て、日本代表として最終決定される。
アジアパラ競技大会は10月6日から13日の8日間の日程で行われる予定だ。
<参考>
日本パラ陸連ホームページ
https://jaafd.org
(校正・佐々木延江)