2020開催国へ向け、新世代の選手増に期待!
車椅子は、1週間前に行われたWPA公認の関東パラ陸上で400メートル、1500メートルと2つの世界記録を更新した驚くべきパラリンピアン佐藤友祈(T52/WORLD-AC)が注目された。800メートルで3つ目の世界記録更新とはならずも、大会記録を更新した。
佐藤は、ロンドンパラリンピック(2012年)後に競技を目指し、わずかなトレーニング期間を捉え2017年世界パラ陸上(ロンドン)へ初めて日本代表として出場。400メートルと1500メートルで銀メダルを獲得した。
リオパラリンピック金メダリストのレイモンド・マーティンが唯一のライバルであり、まさに世界を二分している。現在29歳で、2020年の金メダルにもっとも近い選手の一人である。
マルクス・レームのT64走り幅跳びと並んで、佐藤の2つの世界記録が、今シーズンの2020開催国日本の成果となった。
2009アジアユース組の成長
車椅子の古畑篤郎(T34/アルケア)、生馬知季(T54/WORLD-AC)、義足の佐藤圭太(T64/トヨタ自動車)らは、2009年のアジアユースパラ競技大会(東京)で初めて日本代表となった選手たちだ。同大会では、約60名の選手が陸上競技で新たな日本代表となった。
アジアユースパラをはじめ、パラスポーツの国際大会を主催することは、パラスポーツの発展に良い機会を得ることになる。日本に新たなエリート選手をもたらすだけではない、近隣のアジア諸国の障害のある子供たちがスポーツを目指すきっかけにもなる。
また、このほどパラ陸連の会長に就任した増田明美氏も2009年アジアユースパラで日本選手団団長になるなど、多くの関係者を障害のある人のスポーツに巻き込める。
あれから約10年。上記3選手は短距離中心に今回出場した種目全てで1位。生馬は今シーズン200メートルで長く日本記録を保持したパラリンピアン永尾嘉章の記録を破った。
2009アジアユース組が10年を経て成長しつつある中、今度は2020東京パラリンピックに向け、各地で発掘プロジェクト、パラスポーツ体験会が行われている。
その結果、選手も増え、100メートル走では予選が開催されていた。この数年で挑んできた選手の中には2009年組・若手エリートの代表格である佐藤圭太を脅かす、井谷俊介(ネッツ東京)、大島健吾(愛知パラ陸協)などの選手も現れた。かけた時間を、一瞬で超えてしまうことが起きる、その可能性も含め競技の面白さと言えるだろう。
また今大会で初めてミックスリレーが開催された。視覚障害、知的障害、義足、車椅子の男女の選手がバトンを繋いだ。
今シーズンは10月にアジアパラ競技大会(ジャカルタ)を控え、国内でのパラ陸上は、9月に高松市(香川県)で行われる日本選手権を残すのみとなった。
2020東京パラリンピックに向け、日本の障害者のスポーツがどこまで成長できるかが楽しみだ。
※参考:アジアユースパラゲームズ2009東京
http://www.paraphoto.org/tokyo2009/
<目次>
P1 マルクス・レームが大ジャンプ。男子T64走り幅跳び世界新記録!
P2 男子T63走り幅跳び。山本篤ライバルとの機会大事に
P3 女子T64マルティナ・カイローニの競技と想い
P4 南米の男子F34マウリシオ・バレンシア「自分は強いと唱えよう」
P5 2020開催にむかうパラ陸上。新世代の選手増える期待!
P6 写真ギャラリー(作成中)